国宝をみて。⚠️ネタバレあり
映画国宝をみた。
まず圧倒されたのは吉沢亮さんの演技力。もちろん横浜流星さんもすごかったけど、吉沢亮の演技には何故かより引き込まれた。不遇な過去、這い上がって輝いたところから急に奈落へ、それでも舞台に上がること諦めきれない、というより取り憑かれたように舞う。そして、また共に舞台に立つ喜び。喜久雄の人生の一つ一つの歩み、経験、それによる心情の変化。それが演技によって断絶されることなく、滑らかにつながる。そんな演技だったから心に響いた。
心に残っているシーンは俊介と喜久雄の最後の共演シーン。糖尿病に患い、足を壊死しながらも共に舞う決断をし、最後までやり通す。子供の頃から共に舞うパートナーであり、兄弟のような仲であり、ライバルの様な存在でもある。そんな2人の最後の舞台は、それまでの人生を凝縮した様な舞台で感動した。あと色に圧倒された。最後の喜久雄が人間国宝になった後の舞台で喜久雄が見たかった景色であろうシーン。ひらひらと白い?紙吹雪が舞う。あたりは暗くけど少し青がかった色。喜久雄が見たかった景色は父が殺されたあの日の様な雪景色。今度は鷺娘として雪景色の中で死に花火の様に舞台で散る。ラストのシーンは父の死を芸術に昇華することで演者として幕を閉じた感じがした。色に着目したい。鮮やかな赤と鮮やかな白、この紅白を包み込む様な深いネイビーの様な黒。この3色が何故だか印象に残っている。お白いの白と、目元と口の赤色や衣装の赤色。そして髪や衣装の黒色や深いネイビー。赤や白は2人の情熱や激しさを表しそれを黒やネイビーで包み上品な舞台へと昇華する。あるいは、黒は2人を取り憑かせたように熱中させる舞いであり、欲望深い悪魔なのかもしれない。赤は歌舞伎に深く関わる血統であり、殺された父の血であり、無視され続け犠牲となった血である。白はあの時みた、そして忘れられない景色となった雪である。今回の映画を観て自分が色のトリコになっていることに気づいた。映像の美しさ、そして物語に深みを与えるのは色である。ここに小説と映像作品の違いがある。色で伝えることのできるところが映像作品の強みであり時として、その色を無碍にした作品にがっかりする。でも今回は色が良かった。色が良かった他の作品として言の葉の庭がある。これは緑が支配する世界に白と赤、特に赤が強調されている気がする。自然の緑という都会の喧騒、人間関係の喧騒から離れたところで青年の白と先生の赤がポツンと浮かんでいる。緑の補色として一際目立つ赤は、先生の人間関係を表し、青年から見る先生が唯一の存在であることが強調される気がする。映画を色で見ると楽しい。そんなことにも気づけた国宝でした。
