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踊るように、場所をうみだすDOMAプロジェクトのキーワード

高山建築学校で会ったダンサーの中沢レイさんが市の職員として関わっているという縁で講師として参加している、三重県亀山市の空き家活用・関係人口創出トライアル「DOMA PROJECT」の報告書のために書いた文章です。

■多元論
いったいこのプロジェクトは何処を目指しているのか、ちょっとわかりづらいところがあるかと思います。三和土(土を石灰とニガリで固めたドマ)をつくるダンスを踊ったり、竹で駕籠を作って運んだり、地域のお祭りに参加したり、楽器を作って音楽をしたりと、やっていることのまとまりがない。しかしそのようなごちゃまぜというのが、とっても大事なのだと考えています。
デザイン分野でワークショップを最初にやりだした先駆者に、ランドスケープ・アーキテクトのローレンス・ハルプリンとダンサーのアンナ・ハルプリンがいます。彼らは「ゴール志向」が現代社会の危機であると考えました。ゴールを設定してそこへの最短距離を突き進むやり方では、関わっている人が持っている個々の視点、価値観とか動機みたいなものが見過ごされてしまいます。物事は一つの価値に統合できるわけではなくて、全ては固有の価値を持って動いている。そういう「多元論」的な状態でこそ、創造性が発揮されると彼らは考えます。DOMAプロジェクトは関係人口を創出することを目的としてはいますが、ゴール志向にはならずに、関わる人それぞれの視点を尊重する多元論的な場所づくりをすることで、結果的に関係人口創出につながる、そんなアプローチをとっています。

■対話
イベントの振り返りや企画などをテーマとした、対話の時間を多く持っています。雑談みたいなものも多いです。ゴール志向の考えからは無駄に見えてしまうのですが、こういう対話が多元論的な場所づくりには欠かせないと考えています。それは、問題解決のための議論とはちがって、参加するそれぞれの人の異なる視点が共存するような話し合いです。
さて、「存在論的デザイン」という考え方があります。これは、デザインすることは、デザインする人間のあり方をデザインすることになる、という考えです。このプロジェクトも、単にモノや建物を作っているのではなくて、自分たちや、自分たちと他の人やモノとの関係を作っていくプロセスです。その鍵が対話です。対話をとおして、他者の視点を知り、自分に見えていなかったものに気づく。そのことが各々が自分の世界観を更新するきっかけになるからです。

■身体性
対話が大事だといっても、それは言葉によるものに限られません。プロジェクトでは体を使って一緒にモノをを作ったり、働いたりしてきました。こうした身体の動きもまた、それぞれの視点を表現するものであり、一緒にモノを作ったり働いたりすることは、非言語的で身体的な対話なのだといえます。たとえば、駕籠に乗るとか、駕籠で人を運ぶということは、現代人にとっては、日常とは違う仕方で他者の存在に応答しあうことであり、自己や他者の身体をとらえなおすきっかけになります。
言葉で理念について話すのもとっても大事ですが、それだけだと頭でっかちになってしまいます。概念になっていないものを見過ごしてしまう。プロジェクトでは、身体的な対話をとおして、言葉で理解するのとは違ったやりかたで、ヴァイブスを共有していくことを試みています。

■即興 
プロジェクトでは、集まって話すなかで、行き当たりばったりでやることを決めることも少なくないです。たまたまあった材料をつかって竈を作ることもありました。なんて無計画なのだ、と思われるかもしれません。
しかし、多元論的な場所というのは、あらかじめ全て計画して、そのとおりに作るというやり方では生み出すことはできません。なぜなら、計画というのは固定された一つの視点を前提としているからです。予想外のことが起きて、そこに新しい意味をみつけ、応答する。そのような即興性こそが、対話の核にあるものであり、多元論的な場所を生み出すためには必須です。だから計画をするとしても、すべてを決め切るのではなくて、即興を支える条件をデザインする、ということを大事にしたいと考えています。


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