Photo by
kana58kana
ほんわか台風、毎週ショートショートnote、410文字
テレビではいつも、台風が来るたびに大騒ぎだ。
リポーターが横殴りの雨に打たれながら、「立っているのもやっとです!」と叫んでいる。
でも、私はそんな台風を一度も経験したことがない。
風が吹いても、せいぜい風の音がかすかに聞こえるくらい。
雨の音も、子守唄みたいにやさしい。
家が少しだけミシッと鳴ることはあるけれど、こわいと思ったことはない。
だから、台風といっても、なんだか、ほんわかしたものだと思っている。
昨日も「大型台風接近中!」とテレビが騒いでいたけれど、私のまわりは静かだった。
風のにおいも全然なく、カーテンの向こうで雨粒が窓をすべる音がした。
台風って、案外、居心地がいい。
どんよりした空から、ふわっと光が差し込む。
お母さんが「あ、台風もう行ったみたい」と笑った。
ほらね。
やっぱり、うちに来る台風は、いつも、ほんわかしてるんだ。
そう思いながら、私は窓際のクッションの上で丸くなる。
しっぽをゆらして、私はひとつ、あくびをした。
(410文字)
ーーーーーーー
生まれ変わるなら、お金持ちの家の猫に生まれ変わりたいと思っている氷堂出雲でした。名前はルルちゃん…。
