告白雨雲(409字、毎週ショートショートnote)
その白い雲は、ひとりの青年に恋をした。
青年をいつも天から見守っていた。
春の青空。
たとえ周りの雲の友達がいなくなっても、彼を見守り続けた。
暑い夏の日、雲は道ゆく青年のために日陰をつくった。どこまでもついて行き、彼を夏の日差しから守っていた。
秋の台風。
風が吹き荒れ、横殴りの雨が襲ってきても、白い雲は、雨雲を蹴散らし彼を守った。
冬。
雪雲が雪を降らせる。
底冷えする寒さの中、リング状に変形して、雪雲を蹴散らし、彼に太陽の温かい光を届けた。
そして、また、春がやってきた。
青年は一人で出かけて、雲はその後を追った。
駅前で女性と合流して、デパートに入った。
しばらくして、出てきた二人は近くの公園に行った。
公園で何か話をしている。
雲は耳をすました。
女性への告白だった。
雲は悲しくて涙を流した。白い雲は黒くなり、やがて、大きな雨雲へと成長した。
青年が、カバンの中から傘を取り出すと、二人は相合傘で駅へと向かった。
雨は、三日三晩続いた。
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』
