スネーク満床、毎週ショートショートnote、410字
ある病院で異変が起きた。
患者たちが一様に同じ夢を見たのだ。広がる湿地、うごめく大量の蛇、その中に立つ大きな影。影はしゃべらず、ただ冷たい視線を向けていた。患者たちは朝になり、口々に夢の内容を語り始めたが、その言葉は徐々に収束していった。誰かが言ったのだ。
「あの影、見たことがある」
看護師の三浦と佐々木はその晩、巡回をしていた。ガラス越しに見える病室では、患者が蛇に囲まれて眠っていた。無数の蛇が患者の体を取り囲んでいた。
病院は沈黙していた。いや、せざるを得なかった。ベッドの上、椅子の下、天井の照明器具の裏。あらゆる隙間に蛇がいた。細長い身体が布地にくるまり、鋭い舌先が空気を裂くように動き続けていた。医師と看護師は声を失い、ただ震えていた。皆の目に浮かぶのはある患者だった。彼は病室に蛇を持ち込んで叱責され窓から身を投げた。
それ以来、入院初日に全ての患者は彼の夢を見る。そして、命日には、このスネーク満床が始まるのだ。
(410字)
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