チラ見バーガー、毎週ショートショートnote、410字
ハンバーガーを一緒に食べにいく男女は深い仲だと、ずっとそう思っていた。
大きな口を開けないと食べられない……そんな恥ずかしい姿を見せてもいいと思えるほどだから。
なのに、大学で女の子から「ランチにハンバーガーを食べに行こう」と誘われた。
彼女は、女優をやっているという噂が立つほどの美人だ。
店に入り、ハンバーガーを注文し、向かい合って席につく。
彼女がハンバーガーを食べる姿をチラ見した僕は、目を疑った。
想像以上に大きな口。ためらいもなく豪快にかぶりついていた。
その姿に圧倒され、むしろ僕のほうが気後れしてしまった。
「こんな姿見せられるの、あなただけだよ」
なんて、言われたらどうしよう。
心臓が勝手に跳ね上がる。
次の瞬間、彼女は言った。
「ちょっと、ハンバーガーを友達と豪快に食べるシーンの撮影でね。で、そのカメラ」
振り向くと、店の隅で小型カメラが光っていた。
監督らしき男が手を振っている。
僕は、いつの間にかエキストラになっていた。
