見出し画像

下僕並べ、毎週ショートショートnote、410字


 深夜三時、彼女に頼まれたものをコンビニで買って彼女の家に駆けつけた。
 ソファに座って話している時に、彼女のスマホに「下僕並べ」というアプリが入っているのが見えた。
 彼女は僕にアプリ画面を見せた。
 歴代の元カレたちの顔写真が一覧表示され、その下に細かな評価項目が並んでいる。

 年収。
 返信速度。
 呼んで来るまでの時間。
 プレゼントの単価。
 従順度。

「見て、この人、深夜二時に呼んでも来るの。すごくない?」
「こんなの、やめろよ。こんなことをしてたら、いつか刺されるぞ」
「刺されそうになったら、あなたが助けてくれるんでしょ」
「もちろん。でも」
「うん。もうやめる」
 思ったより素直な返事だった。安心して、スマホを返すと彼女は目の前でアプリを確かに削除した。

 彼女はスマホを胸に抱き、小さな声で言った。
「最高の下僕、見つけた」

僕のスマホに通知が来た。
「下僕登録が完了しました」
彼女のスマホに「下僕くん」というアプリが増えていた。

いいなと思ったら応援しよう!