雪和尚、毎週ショートショートnote、410字
新しい和尚様が来るというのに吹雪になった。
この村へ来るには、雪深い峠を越えねばならない。
「今日は無理だな」
小坊主たちがそう思った時、本堂の戸が開いた。
入ってきたのは、厳つい顔をした和尚だった。
背は高く、肩は岩のように盛り上がり、目つきは鋭い。
とても「優しい和尚さま」と聞かされていた人物には見えない。
小坊主たちが固まっていると、その和尚は低い声で言った。
「わしを、雪和尚と呼べ」
意味は分からなかったが、恐ろしい命令に逆らえる気がしなかった。
その日から、雪和尚の指示が始まった。
「掃除は徹底せよ」
「寒さに負けるな」
喋り方は軍人で小坊主たちは必死に従った。
吹雪は止まず雪は深くなっていった。
ある晩、雪和尚が言った。
「わしはこの寺を出る。わしのせいで和尚が来れないから罪滅ぼしに代役をした。しかし、わしが居座れば、隣町で足止めされている本物が来られん」
雪和尚の姿は渦巻く雪になった。
「わしの名は冬将軍じゃ」
そして、姿を消した。
