魔王を名乗る神【ペガサス挑戦券】氷堂出雲
魔王の部屋、玉座にいた白いペガサスが、勇者に一枚の紙を差し出した。
「ペガサス挑戦券。これを読んで…」
最後まで聞かず、勇者はそれを床に叩きつけた。ペガサスは息を吐く。
「お前、毎回そうだ。読む前に叩きつける。言葉は、受け入れる心が無い者には届かない。だから、読め」
「百八回殺され、百八回、お前は私を蘇えらせた。そこにその理由があるのか?」
不安を押し殺し、勇者は紙を拾う。紙には、こう書かれていた。
『勇者の剣は、悪しき者を断つ剣。私は神だ。魔王ではない。だから、私に傷一つつけることはできない。お前の正義が本当に正しいのか考えろ。それでも挑むなら相手になる』
勇者の脳裏に王の圧政、搾取、不正統治が浮かぶ。
「王が悪人なら国は歪む。その歪みを正すのが私の役目だ」
「だから俺を何度も殺したのか」
「違う。何度も生かしたのだ。お前は王に忠実なだけ。お前の正義が本当に正しいのか考えさせるためだ」
「だったら、最初に…」
「最初に話した。でもお前は、何ひとつ信じずに斬りかかってきた」
「そうだったな…」勇者は跪いた。「今ならわかる。王が、悪だ…」
ペガサスの目が光る。
「王に罰を与える。次の王はお前だ。私に乗れ」
天井が開き、勇者を乗せたペガサスが飛び立った。
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「ペガサス挑戦券」というお題で「ループ」を話に盛り込んだショートショートを書くという課題でした。
