俊敏ポルチーニ茸、毎週ショートショートnote、410字
ポルチーニ茸は高価だ。
人工栽培ができない。特定の樹木と共生する松茸のような存在だ。
だから、私のようなポルチーニハンターが山を駆けずり回る。
私は目を疑った。
ポルチーニが走っていた。
ポルチーニは、滑るようにジャンプや方向転換までして移動している。
ポルチーニハンター歴二十年。
崖も沢も越えてきた。
きのこに翻弄される日が来るとは。
待てよ。
菌根菌だ。特定の樹木から離れられないはず。
つまり、行動範囲は限られている。
私は半径を読み共生樹を特定した。
円を描くように回り込み、追い込むと、そのポルチーニは立ち止まった。
勝った。
私は近づき手を伸ばした、その瞬間……地面が抜けた。
落とし穴だ。
見上げると、そのポルチーニが私に土をかけだした。
落とし穴に私を埋めるつもりだ
私を自分のための肥料にする?
いや、ポルチーニは菌根菌。
私を埋めたってあいつの栄養にはなれない。
そうか、人間の死体を分解して直接栄養にするのではなく、共生樹の肥料にするのか。
