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ラブカ奇譚、毎週ショートショートnote裏お題、410字、R13



斉藤は、海洋学者の黒野が消息を絶った海洋地質研究所にきていた。

最後に記録されたのは、ラブカとの接触だった。
再生すると、現れたのはラブカだった。

「ラブカ、接近……え?」
ラブカが口を開けた時に聞こえたのは人の声だった。若い女の声。微かに笑っていた。

「見たわね」

その声に、斉藤は背筋を冷たく濡らされたような感覚を覚えた。
そして、ラブカが口を開けた時にこぼしたのは人の…。

黒野の言葉がノイズ混じりに再生された。
「海に身を投げた者を食っている。あれは魚なんかじゃない。化け物だ」

そこで途切れた。
斉藤はそれを見て、あわてて電源を切った。
部屋の空気が急に重くなっていた。
ドアを閉めたはずの研究室の向こうから、濡れた足音が一歩、また一歩、ゆっくりと近づいてきた。
 
どこからか海水が染み出して廊下が濡れている。
若い女が笑っていた。
口を開けると、さっきのラブカと同じ声。

「私を見たのね」

翌朝、研究所の記録係が出勤した時、斉藤の姿はなかった。


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