夜桜系男子、毎週ショートショートnote、409文字
翔太は、無口だ。
でも、私が語りかけると、ふっと柔らかく笑う。
彼のことをネクラだと言う人が多いけれど、私はそうは思わない。
きっと、言葉を選ぶのに時間がかかるだけだ。思慮深いのだと思う。
ああ、そうだ。
彼は、夜桜系男子というのがしっくりくる。
夜空の黒と桜の淡い色の対比が、桜の美しさを強調するように、ふだんの黒のイメージから笑ったときだけ、ひらりと色づく。
その変化に気づいているのは、きっと私だけだと思っていた。
「翔太がさ、笑うと周りに桜の花びらが舞うよね。あれ、何?不思議」
友人の友希が、何気なく言った。
胸の奥で、何かが崩れる音がした。
そうだ。
夜桜は、誰にでも平等に咲くものだった。
友希がライバルに?
その帰り道、ひとりで夜道を歩いた。街灯の先に、満開の桜並木が見えた。そこに、翔太がいた。
「さよなら」
彼は笑顔でそう言った。
一度、瞬きをする。次に目を開けたとき、そこには、ただ、夜桜だけ。
翌日、友希が言った。
「誰?翔太って」
