執念第一(毎週ショートショートnote、411文字)
「あんた、まだ、聞き込みしてるのか?もうすぐ定年だろ。忘れた方がいいぞ」
馴染みのおでん屋の親父が俺に笑いかける。
「あの強盗殺人事件だけは、忘れられないんだ。目撃者を見つけないと、ゆっくり老後を楽しめない。
心の中のトゲがチクチクして安心できないんだ」
「さすが執念第一をモットーにしている刑事だな」
「頼んだ通り、客に聞いてくれてるか?」
「そんなのいちいち聞けねーよ。ほら」
親父はそう言うと、クイッと顎を壁の方に向けた。
壁には事件の概要を記した手書きのポスターがある。
「ありがとよ」
言葉少なに俺は礼を言うと手酌で酒を注ぎ、口へと運ぶ。
一人暮らしの婆さんがタンス預金していた一億円を奪われた。
後頭部を殴られて殺されたことになっているが、帰宅時に事件に遭遇し、驚いて気絶して後ろに倒れただけだ。
誰かが玄関の外にいて事件を目撃していた。
俺はその目撃者を執念で探している。でなければ、のんびりと老後を過ごせない。
探し出して始末しないと。
『本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です』
一周年をブラックで終わってしまいました。
申し訳ないです。
