蘇生試験、毎週ショートショートnote、573字、文字数オーバー
帝はかぐや姫に必ず誰かと結婚しろと命令した。
「蘇生試験を行います」とかぐやは言った。「私の目の前で完全に死に、そして生き返った者を、夫としましょう」
そして、期日が訪れ、男たちは集まった。
最初の男が目の前で死んだ、が、しばらくすると動き出した。
かぐやは言った。
「あなたの体は機械の体ですね。再起動ですか」
男は言葉を返せず、肩を震わせた。かぐやは目を細め、静かに続けた。
「あなたは機械の体になった時に死んでいます。私の目の前で死ぬ、という条件を踏みにじったのです」
次に進み出たのは、僧衣をまとった若者だった。彼は静かに心臓の鼓動を止める秘術を施した。しばらくして復活を遂げた。
かぐやはまばたきすらせず、言った。
「それは仮死です。脳死には至っていません。失格です」
次の男は完全に死んだ。直後、別の男に憑依した。
「あなたはあなたであって、あなたではありません。魂と体が一致してこそあなたなのです」
次々と男たちは試みた。だが、かぐや姫は悉く見破った。
最後に、一人の男が呼吸を止めた。瞬間、彼の身体は空気に溶けるように消えた。消滅。空間のゆらぎだけが、その場に残された。
「成功です。私は、この方を夫とします。彼は時間を逆行して、過去の自己に帰還しようとしました。遡行の過程でパラレルワールドに逸脱しましたが…」
かくて、かぐやは誰とも結婚しないことに成功した。
(573文字)
