LOVE怪談、毎週ショートショートnote、1532文字
その男は、気がつくと、知らない部屋に閉じ込められていたの。
窓は天井近くに一つだけ。人の頭ほどの大きさ。その下には、出入り口の木戸。他には、ドアも窓もなかった。
壁は全てコンクリートで、逃げることはできなかった。目の前に、ARグラスのように仮想モニターが見えた。
LOVE=愛、愛してる
と書いてあった。これがLOVE怪談の始まりよ。
天井のスピーカーから声が聞こえた。男がよく知るかわいい声だった。
「どうして、私を避けるの?」
目の前の文字が変わった。
LOUE=賃貸、あなたをしばらく借ります
女は言った。「あなたは、3日間眠り続けたのよ」
男は、叫んだ。
「いったい、何が目的なんだ?」
文字が変わった。
LONE=孤独、あなたはどれくらい耐えられるかな
男は、単語を構成している文字が一文字づつ変わっているのに気づいた。スピーカーから声がする。
「あなたは誰かを愛するたびにひとりになる。付き合う相手が必ずこの世から消えるのよ」
男は叫ぶ。
「お前が殺したのか? 次は何をさせる。LOPEという文字に変え、俺を走らせるのか?」
また、目の前の文字が変わる。
BONE=骨、あなたの愛していた人が白骨死体で見つかりました
突然、映像がニュースに変わる。ヘリからの山林の映像。ブルーシートが広げられている。アナウンサーの興奮した声。
『山林で見つかった白骨死体は、2年前行方不明になっていた杉田美優さんと断定されました』
「あなたが寝ている間の出来事よ。犯人が警察に情報を渡したみたい」
男は叫んだ。「嘘だ!」
映像が文字に変わる。
BANE=破滅のもと
女の声がする。
「あなたが今見ているのは、私がかけた呪い。もう、あなたの運命も何もかもを私が握っているの。破滅の始まりよ。いい気味だわ」
BARE=むき出しの、裸の
ボワッと着ていた服が燃え上がる。慌てて男は服を脱ぐ。なんとか難を逃れたと思うと、
BARK=犬の吠え声、殺されるかもね
外から木戸にぶつかる音と大量の犬の鳴き声。ガリガリとドアを引っ掻く音。今にもドアを破られそうだ。
そして、
『DARK=暗闇』
窓が閉じて真っ暗になるとともに犬の声が小さくなっていく。
終わったか、と男は思ったが、目の前の文字が変わる。
『MARK=印』
天井から出たレーザービームが足元の床に当たり、煙を出す。そこからレーザーのガイド光は一気に部屋を横断する。裸の腹から脇にかけてレーザーが焼く。何度も何度も、レーザーに体を焼かれ、男はのたうち回る。男の体に格子状の火傷の痕が残る。
そして、
『MARE=悪夢』
男にとって、もうすでに悪夢の状況だったのだが、真の悪夢を体験することになる。シューと音を立てて、催眠ガスが流れ込んできたのよ。
悪夢を見せる麻酔薬というのがあってね。寝ていた男に注射したの。男は翌日まで眠りについた。その間中、悪夢を見ていた。
そして、目を覚ますと、文字は
『MORE=もっと』
となったの。
真っ暗な部屋に、犬がドアを破って乱入してくる。四肢を中心に全身を噛まれる。悶え苦しむ体をピンポイントで、レーザーが狙う。
男は、そのまま動かなくなったわ。目の前の文字が、
『MORG=死体安置所』
になるのを見届けてくれたかしら。それまでに息を引き取ったかもね──。
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少し前に、男は、見知らぬ部屋で目が覚めた。
そして、目覚めた時から天井のスピーカーから流れる話を聞かされていた。その声は、聞き覚えのある、男のストーカーの女の声だった。二年前から男に付き纏っていた。
「さっき話したLOVE怪談の男が目覚めたのが、この部屋なのよ。あなたも、あの男と同じ目に遭うのよ」
「行方不明の凛もお前が殺したのか?」
「さあね」
そして、男の目の前に、『LOVE=愛、愛してる』という文字が浮かんだ。
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最近、公募のためにミステリーばかり書いているので、こんなことになってしまいました。
