和歌ゲーム、毎週ショートショートnote、410字
私は死んだ。そして目の前に閻魔大王がいた。
「おぬしの生前の善行悪行、総じて判定は五分五分。この場合、和歌ゲームをもって、天国か地獄かを最終決定する!」
「は?」
「お前の詠む和歌がわしの心に刺さるかのゲーム。刺されば天国じゃ。魂の清澄は、歌の中に最も現れるものだ」
理系の私に和歌など詠めなかった。
黙っていると、大王はがっくりと首を垂れた。
「おぬしら最近の人間はこれじゃ……。最近の死者ときたら和歌一首も詠めぬ。これでは地獄が過密になるわけじゃ……最近では地獄の鬼どもも過労ぎみで困っておる」
私は何でもいいからひねり出すしかないと思い、絞り出した。
朝食は
バナナ一本
急いでた
駅の階段
息切れしてた
閻魔大王は深いため息をついた。
「ゲームオーバー。お前の負けだ。しかし、なんとかして、天国に行かせたい。新設された和歌再教育施設で三大和歌集を写経して、学べ。自信がつけばまた、ゲームに挑みに来い」
そして、私の地獄のような日々が始まった。
(410字)
