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  ボヴァリー夫人(フローベール)

今回の名作はボヴァリー夫人です。小説「ボヴァリー夫人」は1857年にフランスの作家ギュスターヴ・フローベールによって書かれた小説です。物語は田舎の医者であるシャルル・ボヴァリーとその妻エマ・ボヴァリーの結婚生活を中心に展開されます。
エマ・ボヴァリーは田舎での単調な生活に不満を抱いている情熱的で夢見がちな女性です。彼女は若い頃からロマンティックな小説に憧れ華やかで情熱的な恋愛や都会的な生活に夢を抱き続けています。しかし現実には夫との生活は退屈でエマはますます満たされない感情に囚われていきます。
それではストーリーに入って行きましょう。

物語は夫シャルル・ボヴァリーの生い立ちから始まります。シャルルは優しく温和な性格であり母親の言いなりになって育ち医者となります。

シャルル・ボヴァリー(夫)

しかし彼の医者としてのキャリアも成功とは程遠いものです。医師となったシャルルは両親の勧めるまま持参金のたっぷりある年上の45歳の未亡人エロイーズと結婚しました。しかし結婚後にはやきもち焼きのこの女性が自分の資産について嘘をついていたことが判明しシャルルの両親に激しく非難されまもなく心労がもとで急逝してしまうのでした。その後シャルルはエマという若く美しい農家の娘に出会い彼女と再婚します。

主人公 エマ・ボヴァリー

エマはシャルルと結婚してから退屈な田舎生活に直面します。彼女は修道院出身で若い頃に読みふけったロマンティックな小説の影響で情熱的な恋愛や華やかな都会生活に憧れを抱いていました。しかし現実のシャルルとの結婚生活はそれとは程遠いものでした。シャルルは妻を深く愛していますが非常に鈍感であり妻エマの感情の変化や欲求を理解しません。エマは次第に現実の生活に対する不満と虚無感を募らせ彼女の心には次第に孤独が深まっていきます。

その思いはある日夫妻で侯爵家の舞踏会に招かれたことによりいっそう強くなっていくのでした。侯爵たちの豪華な生活と比べ自分の平凡な家庭や凡庸な夫が心底から嫌になり都会の社交生活に加われない自分を不幸な人間だと考えるようになるのです。
そんな中エマとシャルルは引っ越しを決意し新たな町ヨンヴィル・ラベーに移り住みます。

ヨンヴィル・ラベーも街並み

ヨンヴィル・ラベーでは薬剤師オメーやその家の下宿人で公証人書記の青年レオンといった人物との交流のほか田舎での新しい生活や出産といった出来事によりエマの孤独感は多少ほぐれていくのでした。

レオン(エマと共通の趣味も多く主人公エマは惹かれて行く)

レオンはエマと同じく芸術や詩を愛する人物で共通の趣味や感性に惹かれて行く中彼女とレオンの間には密かに恋心が芽生えます。しかしエマは自身の想いが不倫であることに悩みレオンもまたその関係に踏み込むことを躊躇します。結局レオンはエマへの思いを断ち切り法律の勉強のためにパリへと旅立ちエマは再び孤独に打ちひしがれます。

パリへと旅立つレオン

その後エマは町の裕福な地主ロドルフ・ブーランジェと出会います。ロドルフは魅力的で女性に慣れておりエマの純粋な情熱をうまく利用して彼女を誘惑します。

ロドルフ・ブーランジェ(裕福な地主)

エマはこの恋愛に夢中になりロドルフと駆け落ちの計画まで立てますが結局ロドルフは彼女の愛情に本気で応えることはなく彼女を裏切り計画は破綻します。彼に裏切られたエマは激しい失望に打ちのめされ体調を崩します。
しばらくしてエマはパリから戻ってきたレオンと再会し彼との関係を再び燃え上がらせます。彼女は今度こそ夢見ていた恋愛を叶えられると信じレオンと頻繁に会うようになります。しかしこの関係もまた次第にエマの想像とは違った形で冷めていき虚しさを残すだけになります。エマはこうした恋愛の失敗を埋めるために浪費に走り豪華な衣服や装飾品を次々と買い膨れ上がった借金を抱えますがその額はやがて返済が不可能なほどのものに膨らみます。

豪華な衣服を買いあさる
装飾品を次々と買う
街の金貸しに手を出す夫人

借金返済の追い詰められたエマはついに町の金貸しに助けを求めたりシャルルに無断で財産を担保にしたりしますが事態は改善せず絶望の淵に立たされます。シャルルにも真実を隠したままエマは最終的に毒を飲んで自ら命を絶つ決意をします。

ついにエマは毒を・・・・・・

エマの死はシャルルにとって大きな悲劇であり彼は深い悲しみに暮れます。彼女が抱えていた多額の借金や不倫の事実も彼女の死後に明らかになりシャルルはその事実に打ちのめされついには彼自身も悲しみのあまり命を落としてしまいます。
結局エマが夢見た華やかな愛や成功とはかけ離れた破滅的な結末を迎え物語は終わります。
以上ギュスターヴ・フローベールの小説ボヴァリー夫人のストーリー概要でした。
さて注目すべきポイントです。

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第一にリアリズムの先駆け:
フローベールは「ボヴァリー夫人」において理想化された恋愛やドラマチックな要素を排除し現実的な結婚生活や人間の欲望を徹底的に描写しています。特に田舎の閉塞感や階級社会の厳しさが強調されています。このリアリズムの手法は当時の文学界において画期的で後の文学に多大な影響を与えました。
第二にフローベールの観察眼と心理描写:
フローベールは田舎の人々の生活や感情そしてエマの内面の変化を細かに描写し社会の中で抑圧された個人の苦悩を鮮やかに表現しています。エマの内面の葛藤や欲望を詳細に描き出し彼女の心情をリアルに読者に伝えています。エマの空虚感や失望を通じて彼女が属する保守的で閉塞的な社会の問題も浮き彫りにしています。
第三に道徳的宗教的テーマの批判:
エマの行動や結末は当時の社会における道徳的な枠組みや宗教観に挑戦しており出版当時は物議を醸しました。しかしフローベールはエマの堕落を単なる悪徳として描くのではなく彼女の選択をある種の自由や反抗として提示し読者に考えさせる余地を与えています。
第四に無情な運命と人間の弱さ:
エマは自己実現や幸福を追求するもののその過程で自己破壊的な選択を重ねます。彼女の破滅は社会の制約に抗おうとする人間の葛藤や限界を象徴しておりフローベールはエマの悲劇的な運命を通して人間の弱さと宿命の冷酷さを問いかけています。
第五に悲劇性: エマの夢破れた悲劇は読者に深い共感と哀愁を呼び起こします。彼女の人生は無謀な夢と現実の間で引き裂かれる象徴として描かれています。
エマの理想と現実のギャップ彼女が追い求めた幸福の儚さそして彼女の選択がもたらした悲劇が強く印象に残り現実の残酷さを描いています。
「ボヴァリー夫人」はその深い洞察と緻密な描写により現代に至るまで読み継がれる名作であり自己の欲望や夢に対する人間の不条理なまでの追求が描かれている点で普遍的なテーマを持っています。

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