友、東から来たる。不義理な己を恥すべし。
iPhoneが鳴る。
知らない番号だ。
でも携帯の番号。
どうするか、と考える間もなく
出てしまった。
それは本当に
出てしまった、という感じで
通話ボタンを押した。
少し戸惑い混じりの声。
「もしもし、○○ですけど
林冲さん??で合ってますか」
懐かしい声。
と言っても級友でもないし
付き合いが長いわけでもない。
前々職で知り合い
東京とこちらで
年賀状のやり取りをする仲で
私は前職をやめたことで
何となく後ろめたさから
年賀状を出さなくなった。
前職の時
東京出張が有り
一度新橋で食事をした。
彼は同じ歳で
同じ九州出身。
それだけで打ち解け
仲良くなった。
深い仲ではない。
だが、自分は彼を友だと思い
彼も友だと言ってくれている。
前職をクビになり
何となく胸を張れなくなり
格差を感じて
「会うこともないだろうから」
と少し遠ざかってしまったが
それでも彼は年賀状を送り続け
今年貰った物には
「仕事で愛媛に行くかも」
と書いてあった。
そして、連絡が来たのだ。
恥ずかしくて赤面するし
彼の真っ直ぐな言葉や
優しさが痛かった。
急だけど、仕事場が
そちらの近所だから
会えたら嬉しいなぁ、と。
そう言うのだ。
自分も会えたら嬉しいよ。
ぜひ会いたいよ。
(どの口が)
と自分で自分を罵りながら
会う約束をした。

会うと彼は笑った。
自分は上手く笑えなかったと思う。
前にあった時みたいに
軽く肩を叩いてくれて
丸い目を大きく見開き
凄い笑顔で笑ってくれた。
それに絆され
自分も笑えた気がする。
今回は仕事が立て込んでて
時間が作れなかったけど
今度は飲みに行こう。
そして、ぜひまた
東京にも来てくれよ。
そう言ってくれた。
東京に用事はほぼ無い。
でもそれができるように
頑張ってみようかとも思えた。
30分ほど話して
別れたが
恥じる気持ち以外にも
彼はたしかに
私の心に何かを灯してくれた。
友の少ない人生だし
それでいいとも思っていたけども
少ない友を
大事にできる人間でありたいと
そう思った。
