ラブブーの影に潜むファグラー
人々がラブブー(Labubu)の可愛さに熱狂する一方で、
私はどうしてもあの奇妙なぬいぐるみ、ファグラー(Fugglers)に惹かれてしまう。
無表情な目。人間そっくりの歯。
そして、背中についたおしりボタン。
棚の隅で笑っているようで、泣いているようにも見えるその顔。
完璧ではないのに、なぜか目を離せない。
入れ歯から生まれたモンスター
ファグラーを生んだのは、イギリスの作家ルイーズ・マクゲトリック。
ある夜、彼女はeBayで「入れ歯の詰まった袋」を見つけ、「これをぬいぐるみに縫い付けたらどうだろう」と思いついた。
2010年、冗談半分でEtsyに出品した最初のファグラーは、想像以上の反響を呼ぶ。
「気持ち悪い」と言われながらも、それが話題となり、“醜いのに愛らしい”ぬいぐるみとして注目を集めた。
噂と誤解、そして逆転の成功
2016年、映画監督ジェームズ・ガンが「子どもの乳歯で作られたぬいぐるみ」とSNSに投稿。
冗談だったが、これが「本物の歯を使っている」という噂を生み、ニュース番組までが取り上げた。
だがその騒動が、ファグラーを世界に知らしめた。
後に玩具メーカー:スピンマスター(Spin Master)が権利を取得し、量販店で本格的に展開。
その独特の「怖かわいさ」で、再び人気を呼んだ。
醜さと愛らしさの境界線
ファグラーには「完璧さ」がない。
ラブブーのような洗練されたデザインでもなく、高級ブランドとのコラボもない。それでも、あの歯とボタンが語るのは、人間の不完全さだ。
醜さを笑い飛ばし、愛してしまう。
それが、フグラーという生き方なのかもしれない。
もう一つの主役として
ラブブーが眩しく輝くその影で、
ファグラーは静かに笑っている。
光の当たらない場所で、それでも誰かを癒やしている。
私が好きなのは、そんな「隅にいるマスコット」だ。
完璧じゃない。
でも、だからこそ―心に残る。
