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その五文字がくれたステージが、ずっと必要だったんだ ―中年男性が個人Vtuberになった話―


初めは、ただ、なんとなく

2022年4月6日。
私はVtuberになりました。

 当時の配信画面を少し変えただけのサムネイル、そして何より日付が間違っていることからもわかるように、Vtuber化は軽い気持ちで行われたのです。とりあえずアバターをつけてVtuberを名乗ればいいだろう。それぐらいの気持ちでした。
 カフェの店長なのか、みかんの擬人化なのか、設定も全く決まっていなくてその場でバラバラのことを言っていたように思います。ちなみに今は書生服を着た文化系物書きVtuberで、みかんの擬人化ではなく頭にアンテナの刺さった人間と固定されています。

今の姿です

 もともとtwitterで創作活動をしていて、その流れから配信活動をするようになりました。その中で「これ以上配信活動を発展させようと思ったら顔出しをするかVtuberになる必要があるだろう」という実感を抱き、顔出しはしたくなかったのでVtuberになることを考えるようになりました。余談ですが2019年頃には私は一度youtubeに動画を出していたことがあります。その際には「Vtuberにはなりません!」と明言していたので人は変わるものですね。
 ゲーミングPCを購入したタイミングで3Dモデルを作ってVtuberとしての活動をスタートさせました。何人か見ているVtuberの方はいたものの決してVtuberファンということもなく、Vtuberのことなど特にわかっていないまま、とりあえず「アバターがあって動いていればVtuberだろう」とVtuberを名乗ったのです。
 その頃配信に来てくれていた方の反応と言えば「やりたいようにやったらいいと思う」ぐらいで、あとは流行りモノへ乗っかることへの軽いいじりがあったぐらいだと思います。それまでの配信活動でも簡単な立ち絵を置いてはいました。だから本当にその延長線上で、ただ動くようにして「Vtuber」という五文字をつけただけ、本当にそれぐらいのものだった、そのはずだったのです。その五文字を見て来てくれる人がちょっとでもいたら嬉しいな、それぐらいの気持ちだったでしょう。

 中年男性の配信者から、青年の見た目の新人Vtuberへ。

 なんとなくつけた、ふわっと名乗ってみた、珍しく私が流行りものに手をつけた「Vtuber」という五文字が、ここまで私自身を大きく、そして決定的に変えてしまうとは思っていませんでした

ダンスホールに飛び込んで

 Vtuberになるということは単に配信者のバリエーションである以上のことでした。それは「Vtuber」の世界に飛び込むということでした。
 Vtuberとして活動をされている方は現在二万人以上はいるそうです。私もVtuberになって最初に驚いたことはVtuberってめちゃくちゃいる!ということでした。

 もちろん規模や活動はあらゆる意味でピンキリですが、多くの人が自分のやり方で輝きを放っています。ゲーム実況、雑談、歌ってみた、コラボ企画、専門性を生かした解説、イラストレーションなど、活動も多種多様なら、その活動へのアプローチも様々です。ゲーム実況一つとっても、競技的にランクを上げる姿を配信する人もいれば、参加型として視聴者や他のVtuberと交流しながら遊ぶ人、物語性の強い作品を画面を通じて共有するような実況をする人もいます。
 また、性別、世代、喋り方、モデルの姿も千差万別で、本当にこれだけ多様な場所はなかなかないだろうというぐらいです。

 私が飛び込んだ「Vtuber」の世界。
 そこはまるで社交ダンスとブレイクダンスと盆踊りと休憩所が共存するダンスホールのようでした。
 とてもキラキラしてして、そこで汗かいて頑張ってもいいし、無理に輝こうとしなくてもいい、出し抜くようにホールの中央にうち出てもいいし、端でぼんやりとしていてもいい。
 みんながそれぞれの考え、それぞれのペースで好きにしていい
、そんな輝きと居心地の良さを感じられる場所でした。そのダンスホールで様々なダンス、もとい活動をそれぞれに行っていく、そんな姿が非常に素敵に思えるのです。それぞれに自分らしい活動を模索し、向上させ、休み、楽しみ、悩む。時にはラインダンスや社交ダンス、あるいはフォークダンスかのようにコラボをしたり。

 仲間で、同志で、ちょっとだけライバル。

 どうしてもVtuberというとトラブルの方が話題になりやすいですし、怖い世界というイメージがあるかもしれません。「Vtuberの世界」の外にいた時代の私も素直に言うとその印象がなかったかというと嘘になります。
 ただ、実際この世界に飛び込んでみると、実際にひどいトラブルがあるのも事実なのですが、それ以上に本当に人格者や資質・才覚のある人が「こんなにいるの?」ってぐらい溢れていました。私がそこまでいた同人文学の世界も非常に才覚のある人に溢れていましたが、それとはまた違う輝きに出会ったのです。そのような方々と一緒に活動をしたり、互いの別々の活動を褒め合ったり、互いに力を合わせることで新しいコンテンツの可能性を見出したり。ただ同時にどこかで競い合ったり、他の人の成功を本音で祝いつつもちょっとだけいいなぁと思う気持ちも生まれてきたり。
 そんな温かくも少しの複雑さもある関係性の中で活動という名のダンスを踊る、それ自体が本当に刺激的です。空いている時間はほとんどの時間活動のことを考え続けていられるぐらい没入しています。
 何度か「Vtuber活動は2度目、または3度目の青春」と言ったことがありますが、正直1度目の青春より充実感があるなぁと思っています。

ずっと必要だった場所がここにあった

 活動が続いていくと、数字や自分の中での充実感と言った「結果」が出てきます。

良くも悪くも容赦なく数字が出てきます

 見てくれる人が多かった、思ったより見られなかった、高評価がついた、低評価がついた、登録者が増えた、減った、自分の中での感触がよかった、しっくりこなかった…

 そんな結果に一喜一憂したり、それではこれを続けたり発展させていこうとか、次は違う方向性を試してみようと試行錯誤を繰り返し、少しずつでも前に進めている実感を得ています。

 活動をして、結果というフィードバックをもらい、それに一喜一憂したり思考しながら次の活動を考えていく

 このサイクルが自分にとっては非常に楽しく、また自分の心が強烈に満たされる感覚があります。
 正直自分の活動は爆発的に発展しているわけでもなく、うまくいかないことも少なくないのが現実です。私自身は焦りはないですし、この言葉を口にしないと決めていますが、客観的に見れば「弱小」「底辺」と言われても仕方ないでしょう。
 それでも、Vtuberの世界、このキラキラで多様なダンスフロアでは自分の知性や感性をフルに動員し、自分らしく勝負を挑み続けることができる。そしてその姿を見てくれる人がいる。その感覚がとにかく楽しくて嬉しくて仕方がないのです。そして気づきました。

 ああ、自分は本当はずっとこういうことがしたかったんだ、と。

 例えば活動一周年を多くの視聴者やVtuberの仲間から祝ってもらったのは本当に嬉しかったですし、自分の考えた企画で色々な人が楽しんでもらえる、自分が実況した作品の作者からご連絡をいただく…、その一つ一つの体験に、自分の心の芯に沁みこんでいくような喜びがあるのです。


 私は若い頃から「もっと自分に我儘になっていい」「もっと自己実現をした方がいい」と言われてきました。周りの声を過剰に気にしたり、勝手に想像してやりたいことがやりきれなかったことがありました。逆にそのせいで心に溜まったしこりが弾けた結果よくない結末に向かってしまうことも一度や二度ではなかったでしょう。素直に言うとVtuber活動をしている時も、この記事を書いている時も「おじさんが何言ってるの気持ち悪い」「自分の年齢考えなよ」と言う誰かからもわからない声が聞こえてくる感覚はあります。
 それでも今その声を振り切りながら、あるいは視聴者や周囲、Vtuberの仲間に支えてもらいながらVtuber活動をしていることで「きっと自分はずっとこういう場所で、自分の持っているものを生かせるだけ生かして、その姿をみんなに見てもらいたかったんだ」と、今までの人生で感じられなかった充実と喜びを素直に感じています。
 私はとてもネガティブな人間です。日常生活や仕事で失敗すると数日以上落ち込んだり「もうここからいなくなりたい」と思うことだってあります。
 でも、Vtuber活動がうまくいかなかった時は、もちろん少しは落ち込むのですが「よし次はどうしてやろうか」「まだ自分は下積み以下の段階なのだから」とすぐに前を向いて次へ向かうことができています
 そのようなことができるのはきっと自分がずっと心のどこかで求めていた願望をやっと叶えているという、その充実感が原動力なのだと思っています。このような世界に飛び込めたことは、きっと私にとって本当に必要なことで、幸福なことなのでしょう。
 言うまでもなくこれは一緒に活動してくれるVtuberの仲間や、私の活動を有形無形で支援してくれる方々、何よりも私の配信や動画、そして今この文章を読んでくれているあなたを含めた視聴者・読者の皆様のおかげです。今のように自分がやりたいことをできている時こそ、それを叶えてくださっている方への感謝を忘れずにいなければならないでしょう。その上でこれからも自分らしく、たまには休んだりしながらこのステージで踊り続けていければ、そして前へと進んでいければと思っています。手前味噌ではありますが最後に私のyoutubeチャンネルを宣伝してこの記事を終わりにさせていただきます。

日向日影のステージ(youtubeチャンネル)の宣伝

・エンタメ、文化系テーマ中心の雑談
・note、pixivでの執筆活動
・ノベルゲーム、アドベンチャーゲームなどストーリー性が強いゲームの実況 
・TRPG、マダミス

などの活動をメインにやっています!「言葉」と「物語」を大切にして活動しておりますのでよければ登録いただければ幸いです。


#あの選択をしたから


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