「銀=魔力絶縁体」説
ファンタジー作品での″銀″の扱いについて、かねてより少し疑問がありました。
「魔除けの金属」と
「魔力と相性の良い金属」という
相反したイメージがあるからです。
例えば狼男や悪魔といった魔物を純銀の弾丸で打ち倒す、というシチュエーションはよく見ます。
その一方で魔法を行使するための触媒として、銀が用いられていることも多く。
結局のところ、銀は魔力を絶つのか?
それとも調和するのか?
この疑問を一挙に解決する妙案を思い付いたので、私見ながら書き記していこうと思います。
「銀は魔力絶縁体」という仮説を。
まずは「魔除けの金属」としての側面から考えていきましょう。
一般的に、魔物には普通の剣や銃弾では歯が立たないとされます。
「魔の物」という名の通り、その体には常に魔力がみなぎり流れていることで、人外の強靭さを生み出しているのでしょう。
魔力的な加護や防護、または再生の力を持ち不死身 とさえ言われることもあります。
そんな魔物を打ち倒せる純銀には、やはり魔力を絶つ、または魔力の影響を受けない性質があると考えられます。
防護や再生を無効化し、魔物に傷を負わせられる ということです。
その性質上、刃物にして斬りつけるよりも、弾丸にして撃ち込む方が理に適っていると言えます。
銀弾が埋まることで魔力の流れを阻害し続け、機能不全に陥らせるという考えです。
ヒトの体で考えると、神経の電気信号や血流が遮られる といったところ。
例えば肩に命中した場合、その先の腕に魔力が行き渡らず、再生はおろか動かすことも困難になるでしょう。
また、狼男や吸血鬼には銀弾で″心臓″を… という逸話があるが、これにも説明がつけられます。
心臓、すなわち魔物の力の源泉たる魔力の核に、「絶縁体」を撃ち込むんです。
いくら魔物といえど、ひとたまりもないはず。
このように、魔力を持たざる者が魔を討つ方法として銀を用いることから、「魔力への特効を持つ金属」であることに疑問の余地はないでしょう。
しかし、それでは「魔法触媒としての銀」はどう説明をつけるのか?
その考えの助けとなるのが半導体の存在です。
今日の我々の生活に欠かせない半導体。
その主な原料はシリコンです。
電気絶縁体であるシリコンに、極々微量の不純物を混ぜて作られるのが「不純物半導体」。
これにより電気の流れを制御し、電子機器の複雑な動作を可能としています。
大まかに説明すると、半導体とはこのようなものになります。
半導体における、電気にとってのシリコン。
それが魔力にとっての銀ではないでしょうか?
純銀は魔を絶つが、極々微量の不純物が混ざったときに、銀は魔力を制御できるようになるのでは?
言うなれば、「半魔導体」です。
これによって魔力の制御やエネルギー変換を可能とし、複雑な命式=魔法の行使ができるようになると考えます。
この「半魔導体」こそが、魔法触媒に適した銀の正体ではないでしょうか。
以上のように考えると、矛盾した銀の描写に説明がつけられます。
魔力を絶つからこそ魔力の制御が可能だったのだ、と僕は考えたいです。
これを前提として、さらにもう一歩踏み込んでみましょう。
半魔導体化した銀が、「ミスリル」と呼ばれる物質の正体ではないでしょうか?
ミスリルの細かな特徴は作品によって違うが、おおよそ以下のような扱いを受けています。
・特に魔力と相性の良い物質
・銀の一種、またはよく似た金属
・非常に貴重
これらについて、半魔導体も同様の特徴を持つか考えていきます。
魔力との相性の良さは述べた通り。
また半魔導体は、ごく微量の不純物が混ざった銀と考えるので銀の一種であるし、似ているのも当然と言えます。
貴重なのは、その不純物の割合がシビアだからでしょう。
純銀では魔を絶つし、不純物が多いと魔力の繊細な制御には使えない。
よって相当高い加工技術か、不純物の割合などが「理想的な銀」の鉱床が必要になります。
そういった存在は、得てして希少価値が高い扱いを受けるものです。
さらに言えば、そもそも普通の銀ですら貴重な金属です。
その中でも優れた特性を持つものが、非常に高い価値をつけられるのも当然ですね。
これらの共通点が、ミスリル=半魔導体化した銀だと考える論拠です。
(冶金技術などに関して、僕は全くの素人であることを付け加えておきます)
思うままに持論を展開してきたものの、幸か不幸か現実に魔力は存在しません。
この「絶魔の世界」では、銀にそのような特性があるかなど確かめようもありません。
どれだけ理屈をこねまわしても、所詮ただの妄言止まりでしかないです。
だからこそ想像を膨らませ、あえて言いたい。
「半魔導体」が現存する可能性もゼロではないと。
誰にもわからないだけで、銀に混ざってひっそりと存在しているかもしれません。
今これを読んでいる貴方が、銀製の食器やアクセサリーを持っているならば。
それは もしかすると…
ファンタジーは、意外と身近にあるのかもしれない。
