彼の地まで
高い山に囲われているからというけれど、峻厳な岩山の猛吹雪から一転の無音に風光明媚な春めく宮殿の佇まいはあまりにも嘘クサすぎて、最高にドラマチック。
シャングリラ、どこかにあるという桃源郷。
二百年を超えて生きる高僧の見た目は驚くほど若い。
彼に後継者になるよう望まれるイギリス人外交官コンウェイの瞳に誠実。
旅の同乗者たちは皆それぞれシャングリラに溶けてゆく。
ただコンウェイの弟ジョージだけは元の世界に戻りたがった。
竜宮城を思い出す。
安寧のシャングリラと元いた戦時の祖国とどちらが良いのか。
自分ならどうだろうと考える。
対面に静かに高僧の言葉を聞くコンウェイの幸せな困惑。
動きがなく薄暗い中、弱い後光を背に半眼の高僧の顔と、コンウェイのシルエット。
どうしてもカルトや新興宗教の気配が脳裏をよぎるのは仕方ない。
原作小説を読んでみたい。
結局コンウェイは弟に説得され、共にシャングリラを出ていく。
弟の愛人であるマリアを連れて。
そのことが引き起こす弟の半狂乱の末の死を目の当たりにして本当に恐ろしかった。
遭難したコンウェイは一旦祖国へ辿り着いたものの自ら消息を断つ。
ふたたび失はれた地平線を探しに。
辿り着いたと思いたい。
2013-11-13
失はれた地平線/フランク・キャプラ
Lost Horizon
1937
Director : Frank Capra
Writers : Robert Riskin, James Hilton, Sidney Buchman
Composer : Dimitri Tiomkin
Cinematographer : Joseph Walker
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