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国内初! 若手主導によるPhysical AIの社会実装をめざす団体「KUPAC」が発足立ち上げイベントを開催

 京都大学の学生と教員たちがPhysical AIの社会実装をめざす団体「Kyoto University Physical AI Community(略称:KUPAC)」を立ち上げ、2025年9月12日にキックオフイベントを開催しました。
 Physical AIとは、物理的な実体を伴って、現実世界で自律的に判断・行動するAIを指します。生成AIの次の潮流として世界的に注目される分野で、労働力不足の解消、災害対応、医療・介護、物流の革新など、多くの社会課題解決にブレークスルーをもたらす可能性を秘めています。
 Physical AIは人工知能とロボティクスを融合した総合的な領域でありながら、これまで所属や専門分野の垣根を越えた交流の場が限られていたことから、今回、京都大学情報学研究科にて知能ロボティクスの研究を行う八木聡明助教と学生が共同でKUPACを設立することになりました。7月の設立以降、企業や他大学の学生・研究者など約90人がメンバーに加わり、今後、関連する企業などと研究者との交流を進める予定です。
 KUPACの大きな特徴は、若手主導と京都を拠点とする点です。未来の諸課題に対して強い当事者意識を持つ若い世代が主体的に運営し、多彩な研究者が集う京都の街から発信することで、イノベーション創出を狙います。

 キックオフイベントの冒頭挨拶では、KUPACの学生代表を務める大澤衡正さん(経済学部3年)がKUPACの設立背景や意義のほか、学生や研究者、企業や地域の人たちが交流できるオープンな場とする、実践重視でロボット等を動かしながら学ぶといった活動方針を紹介しました。

KUPAC学生代表 経済学部3年 大澤 衡正さん

 教員代表の八木助教はPhysical AI技術の動向について、ヒューマノイド研究や協調ロボットの事例を紹介しつつ、「AIとロボティクスはSDGsの課題にも幅広く貢献できる分野。Physical AIで社会課題をどのように解決するのか、学生たちが議論する場にしたい」と語りました。また、京都の研究・産業基盤を活かした発信拠点としての役割についても期待を寄せました。

京都大学情報学研究科 八木 聡明 助教

 続いて2人の学生メンバーによる研究発表がありました。
 工学部4年の平塚さんは、生成AIとの比較によるPhysical AIのポテンシャルや最新の技術トレンドを紹介、高品質な「現場データ」を重視する日本企業が国際競争力を持ち得る可能性を指摘しました。
 情報学研究科博士課程2年の古巻さんは、「触覚センサを活用したロボットの学習」をテーマに、人間の繊細な動きをロボットに再現させるために「触覚」の重要性を強調。触覚センサの脆弱性やシミュレーションの困難さなどの技術的課題と、それらを克服するための強化学習や遠隔操作などの手法を紹介しました。

 質疑応答では、センサの信頼性やデータ収集の課題、実社会での応用可能性について活発な議論が行われました。参加者からは「学生主体の取り組みとして刺激的」「産業界との連携に発展性を感じる」といった声も。
 最後、大澤さんは「KUPACは皆さんの知的好奇心と情熱が原動力。共に学び、共に創り、京都から世界を驚かせるようなイノベーションを起こしたい」と呼びかけ、イベントは終了しました。

 KUPACは今後、定期的に勉強会や実機ロボットを使ったハンズオンイベントなどを開催する予定です。若手の力を活かし、どのようなアイデアが芽吹き、実装へ向けて動き出すのか。今後の展開に注目です。


*当日の様子が日本経済新聞の記事でも取り上げられました。


<Topic>

 八木聡明 助教には、「京都大学成長戦略本部イノベーションプロデューサー(Physical AI担当)」の名称が付与され、イベント前に室田浩司 京都大学副理事・成長戦略本部長より辞令の交付が行われました。
 成長戦略本部はKUPACを後援するとともに、今後も八木助教、KUPACと連携しながら、Physical AIの社会実装に向けた取り組みをバックアップしていく予定です。