【イベントリポート】シンガポール「InnoVision2026」―日本発ディープテックをASEAN・グローバルへ!
2026年1月26日・27日の2日間、アジアのイノベーションハブであるシンガポールにて、日本の大学発スタートアップを世界へつなぐイベント「InnoVision from Top Universities of Japan」を開催しました。
本記事では、過去最大規模となったイベントの全容と熱気、そして京都大学グループとしてシンガポールのエコシステムと連携して推進している取り組みについて現地からリポートします!
「InnoVision」とは?
大学の研究から生まれた画期的な技術やディープテック・スタートアップ企業を、海外の投資家やビジネスパートナーと結びつけることを目的としたカンファレンス&ピッチ&マッチングイベントです。
▼ InnoVision 2026 イベント詳細・参加企業一覧はこちら
京都大学および京都大学イノベーションキャピタル株式会社(京都iCAP)の主催で実施しており、開催は今回で3回目となりますが、その規模と枠組みは年々大きく進化しています。
• 2024年(第1回): 京都大学単独で開催。
• 2025年(第2回): 京都大学だけでなく、京阪神へ拡大。 KSAC(関西スタートアップアカデミア・コアリション)と連携し、「西日本(West Japan)」版として拡大。
• 2026年(第3回): 今回は全国の大学発スタートアップ創出を支援するプラットフォーム「NINE JP」との共催で、京都大学だけでなく、北海道から九州まで日本全国のトップ大学からのチームがシンガポールに集結。名実ともに、「日本の大学発の知」をグローバルに発信する機会となりました。
なお、本イベントは日・シンガポール外交関係樹立60周年記念事業にも採択されています。

Day 1:カンファレンス&ピッチセッション
初日(1月26日)は、Sands Expo & Convention Centerにて、シンポジウムとピッチイベントが行われました。
会場には現地のベンチャーキャピタルや投資家、事業会社、政府関係者をはじめ、参加スタートアップ含めて総勢300名以上が参加。シンポジウムの冒頭や各セッションでは、日本とシンガポールそれぞれから以下のキーパーソンにご登壇いただきました(以下、登壇順)。
・Benjamin Tee 氏(Professor & Vice President (Innovation and Enterprise), NUS Enterprise)
・Chua Taik Him 氏(Vice Chairman of Investment Committee, Vertex Ventures Japan)
・室田 浩司(京都大学 副理事・成長戦略本部長)
・菊川 人吾 氏(経済産業省 イノベーション・環境局長)
・荒井 啓祐 氏(株式会社東京証券取引所 上場推進部長)
・石川 浩司 氏(駐シンガポール日本国特命全権大使)

・ハイライト①:量子コンピューター開発の日星コラボ
ハイライトの一つとなったのが、量子コンピューターをテーマにした特別セッション。京都大学発のスタートアップ「Yaqumo」、シンガポール発のスタートアップ「Entropica Labs」、そして量子技術を扱うベンチャーキャピタル(VC)の「QAI Ventures」が登壇し、日・シンガポール間で現在進行中の連携プロジェクトの紹介や、未来の可能性について議論が交わされました。

・ハイライト②:個性豊かな36チームの登壇
メインとなるピッチステージでは、以下の2つのカテゴリーでピッチセッションが行われ、大学発のディープテック・スタートアップや研究者の計36チームがプレゼンしました。
1. スタートアップ(Startups): すでに起業し、グローバル展開をめざす25社
2. プレ・スピンアウト(Pre-Spinout): 大学の研究成果をベースに、これから起業をめざす11プロジェクト
iPS細胞を活用した再生医療や、バイオ、アグリテック、人工衛星技術など、日本のアカデミアが誇る多様な技術シーズを紹介し、その後、会場にて参加者とのネットワーキングを実施しました。

Day 2:1on1ミーティング
2日目(1月27日)は、日本からの参加者と、現地の投資家や事業会社等とのより実践的な「1on1ミーティング」を実施しました。
前回2025年は125件の個別面談が成立しましたが、今回はそれを上回る約180件のミーティングが成立。資金調達や、アジア含むグローバル市場への事業展開のパートナーシップ等を目的に、各テーブルでは議論が飛び交いました。

参加したスタートアップからは、「事業提携先探しを目的に参加したが、2日間で予想以上のコンタクトがあり、いくつか次につながりそうな出会いもあった」といった声や、プレ・スピンアウト枠の参加者からは、「自分の技術やアイデアに興味を持ってくれる投資家に国籍問わず直接出会うことができ、一気に話が広がり有意義だった」、「こうしたネットワークが一番大事。起業後も投資家とのつながりの場として継続して参加したい」といった声がありました。
もう一つの挑戦:NUSとの連携プログラム「GRIP Japan」
InnoVisionの他にも、シンガポールにおけるもう一つの取り組みをご紹介します。
京都大学は現在、シンガポール国立大学(NUS)およびジェトロ(JETRO)等と連携し、国際的に活躍できるディープテック・スタートアップの創出をめざす「京阪神アジアアクセラレーションプログラム(略称:GRIP Japan)」を開始しました。
GRIP(Graduate Research Innovation Programme)は、シンガポール国立大学(NUS)が持つ起業支援ノウハウを活用した、創業前のシーズ(研究成果)を世界で戦える事業へと磨き上げるプログラムです。
京都大学からは以下の4つのプロジェクトチームが選抜され、2025年11月より、オンライン研修やシンガポール現地での対面セッション等に臨んでいます。
• 耐熱性半導体プロジェクト(中心研究者:金子光顕 工学研究科 准教授)
• 人工血管プロジェクト(中心研究者:山中浩気 附属病院形成外科 助教)
• 新規茶系飲料プロジェクト(中心研究者:丸岡毅 大学院農学研究科博士課程)
• 孤独化防止サービスプロジェクト(中心研究者:スプリング・ハン 経営管理大学院 教授)
一部の研究者は、GRIPでの活動に加え今回のInnoVisionにもプレ・スピンアウト枠として参加しています。
InnoVisionという出会いの場と、GRIPという育成の場。 シンガポールのエコシステムと多角的に連携しながら、研究成果の社会実装を加速させています。
日本の研究を、世界の社会的インパクトへ
今回のInnoVisionは、“Connecting Startups and Research Innovations with Industries”をテーマに掲げています。
3年目を迎え、京都大学発からオールジャパンの取り組みへと進化したことで現地からの注目度も高まっているところへ、今後も、関係機関との連携を通じて大学発の「知」を世界へ届け、その社会実装を加速させていきます。
ご参加いただいた皆様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!

追記:イベントの様子を収めたハイライト動画を公開しました!
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2013年京都大学卒業後、政府系機関にて国内・海外拠点での勤務を経て、2024年より京都大学成長戦略本部にて社会連携推進やスタートアップ創出支援等を担当。
