Global Startup EXPO 2025「大学を中心とした世界のエコシステムと日本のエコシステム」が開催されました
2025年9月17日(水)〜18日(木)、大阪・関西万博会場において「Global Startup EXPO 2025」が開催されました。
世界中のスタートアップ創業者、研究者、投資家、行政機関など、スタートアップエコシステム関係者が集い、次世代の産業・社会を形づくるアイデアを共有し、世界規模の課題解決に挑むという本イベント。
18日には、大学発イノベーションとスタートアップエコシステムの未来をテーマにしたセッションが行われ、湊 長博 京都大学総長が登壇しました。
その他の登壇者は以下の通りです。
Albert P. Pisano
University of California San Diego
Dean, Jacobs School of Engineering and Special Advisor to the Chancellor for Campus Strategic Initiatives University of California San Diego
阿部 博
有限責任 あずさ監査法人
NINEJP 海外拠点高度活用WG 事務局長/有限責任 あずさ監査法人 常務執行役員
山田 裕行
有限責任 あずさ監査法人
あずさ監査法人 理事長/KPMGジャパン共同チェアマン
Johannes Fruehauf
BioLabs
Founder and CEO BioLabs Founder and General Partner, Mission BioCapital; Co-Founder and Executive Chairman, LabCentral
和賀 美和子
University of California San Diego 国際アウトリーチ・シニアディレクター
喜多 隆
神戸大学 理事・副学長
藤本 利夫
アイパークインスティチュート株式会社 代表取締役

本セッションはまず初めに、山田氏が日本におけるスタートアップエコシステムの課題について言及。日本の大学発スタートアップ数は増加しているものの、「1から100」へスケールアップするためのデータの不足、投資プログラムの脆弱さ、才能と投資との循環の必要性などが挙げられました。
その後、海外からの報告がありました。
Albert P. Pisano氏はUCサンディエゴの事例として、研究集約型大学として、バイオ分野を中心に豊富な研究資金を獲得し、大学と企業、投資家を結ぶネットワークを軸に450以上のスタートアップを生み出し半数以上が成功を収めていること、日本の大学との連携により多国籍スタートアップが誕生していることなどが紹介されました。大学発スタートアップには「研究力」「人材育成」「公的支援との協働」が不可欠であると強調しました。
世界最大規模のライフサイエンスインキュベーターであるBioLabs Globalの創業者Johannes Fruehauf氏は、世界各地で研究者や起業家を支援するネットワークを展開し、これまでに1,200以上のスタートアップを育成してきたことや、米国の名門大学との連携により研究成果を社会実装につなげる仕組みを整備、日本でも拠点を展開していることを紹介しました。特に「起業家同士が学び合うコミュニティ形成」が成功の鍵であると話しました。
続いて日本からの視点が紹介されました。
湊総長は京都大学の取り組みとして、海外ネットワークの強化を取り上げ、北米ではニューヨークとサンディエゴ、直近ではシリコンバレーに新拠点を開設したこと、アジアではシンガポールや台湾、さらにグローバルサウス全域との連携を進め、地域パートナーとの協働を加速していることを紹介しました。

また、地域や組織を越えてスタートアップエコシステムの構築をめざす「関西スタートアップアカデミア・コアリション(略称、KSAC)」、さらにKSACを含む全国9拠点が連携し、日本全体でグローバルに通用する事業を生み出すことを目的としたイノベーションエコシステムである「National Innovation Network for Entrepreneur Japan(略称、NINEJP)」など、大学にとどまらない枠組みも紹介されました。なお、NINEJPの活動については、NINEJP海外拠点高度活用WG 事務局長を務める阿部氏からも説明があり、地域的な取り組みと国際的な協力の重要性について語りました。
また、湊総長はスタートアップのグローバル展開について、最大の課題は「人材」であると指摘。大学がその中心的役割を担いつつ、海外と連携しながらグローバル思考のリーダーを育成する必要性について述べました。
喜多氏、藤本氏からもそれぞれの取り組みの紹介があり、日本の制度や文化の課題は踏まえつつ、国際的な視点でエコシステム構築への意欲を示しました。
パネルディスカッションでは、「スタートアップの成功には若者の情熱と経験が不可欠」、「スタートアップが直面する資金不足の問題について、金融に関する知識や理解が必要」、「さまざまな制約を最小限に抑え、ビジネス間の交流を最大化することが重要」といった意見が交わされました。

本セッションは米国の大学やインキュベーターが主導する成功事例を通じて、研究と起業をつなぐ仕組みの重要性が浮き彫りになりました。単なる手法ではなく、グローバルなスタートアップエコシステムの構築は一つの大学や企業だけで成し遂げられるものではなく、共通ビジョンを持つ仲間が重要である、という認識をあらためて共有する場となりました。


