クリエイティブのパラダイムシフト、きてそうだねっていう話
クリエイティブディレクターを名乗りながらお仕事をして、その立ち回りもやっと板についてきたのかな、という現在
企画提案をさせてもらう機会も多く、案件の制作数もぼちぼち戻ってきて、会社としてもお仕事の種類が増えつつあります。逆コロナショックを乗り越える準備がやっと整ったのかなと感じています。
クリエイター育成の仕事と自分がクリエイターとしてお仕事をしている中で、一緒に仕事をしたい人ってどんな人だっけとか、生成AI時代のこれから先、動画クリエイターはどんな人なら生き残れるんだっけということについて、つらつらと考えをまとめていきます。
生成AIはクリエイターの敵なのか
わたしと生成AIの関わり
弊社が「つくる人をつくる」AICUさんのパートナー企業として、情報発信のお手伝いをさせていただいていたことがきっかけで私は生成AIについての最新情報にアクセスしやすい環境に居ました。そこでは、静止画・音・動画など様々な領域での生成AIクリエイティブについての質の高め方や使ってどんなものを作るのか、プロの仕事として活用するにはどうするのかということが語られており、私が危機感を持ったのも世間の皆様より早かったかともいます。2024年の3月に行われた東京AI祭には運営スタッフの方の熱意を受け協賛企業枠で参加をさせていただき、元々クリエイターという人種だった人たちによる生成AIを使ったクリエイティブの展示をさせていただきました。
▽その時の様子
生成AIを使うクリエイターになってみて思ったこと
東京AI祭が行われた頃は生成AIを使って何かを作っている人は、プロンプトの良し悪し・アウトプットの良し悪しによるクオリティの探求、というアートよりもエンジニアリング寄りの評価軸が大きかったように感じます。
私も実際に生成AIを使って画像生成のプロジェクト(#50DAYSママ活)をしてみて、良いものはそれを作れるだけの学びと恐ろしい数のアウトプットをゴミ箱に捨てた上で成り立つという、通常のクリエイターの学びの過程と同じものが必要であるということを理解しました。要は、今までなかったツールが世に出てきて技術革新が起きているだけ、なんだと思います。
現在、Xの利用規約に投稿した画像がAIの学習に利用されると明記されたことで、多くの作家さん(特に絵師さんなど)がネガティブな意見を表明されていると思います。生成AIというもの自体について、学習元の透明性を理由に叩く人が多くいます。(基礎学習に使われている元ネタは何なのかなど)
私は、システムは開発しておらず既存の生成AI系の商用利用可能なサービスを活用しているだけではありますが、人間だって人生においてみて学んだことをもとに作品を作っているわけですから、重要なのは学習元の透明性ではなく、他者による作品の盗用になるようなものをアウトプットとして表に出さないという倫理観であると考えています。
(考察)生成AIとクリエイターがうまく付き合う方法
他者による作品の盗用になるようなものをアウトプットとして表に出さないという倫理観、ってやつですが、生成AIに限らず起こることだと思うんです。広告業界でたまーに炎上してますよね。とある作品の方向性をパクったと言いたくなるような広告アウトプットが世に出て、作家本人やファンの方が騒ぐ構図です。広告主は広告を取りやめたり、原作の作家さんに対して慰謝料を払ったりなどが発生したりするわけです。結局は出す人が本当にこれは盗用では無いのかと自問自答することでしか対策はできません。
東京オリンピックのロゴ問題だって、同じことだったと思います。
もしかしたら自分の指示(プロンプト)に従って生成されたものが、誰かの作品に似すぎていることはないか、そもそも自分の生成したものがテーマやコンセプトに合っているのか、誰かを傷つけることはないか、数年のうちにどんどんコンプライアンスが厳しくなる世の中で、そこの判断をする力がクリエイターには求められていると思います。自分の作品だと胸を張って言えるものをアウトプットしていく中で必要に応じて生成AIを活用するということ自体は自分のクリエイティブのレベルアップをしていくのに必要なことなんだろうと考えています。
どんなものを作るかということをきちんと設計せずに作っていったら盗作と言われる可能性が高いです。なのできちんと作品を設計をして作っていくことが重要だと思っています。
未来のためにクリエイターが学ぶべきこと
学部の基礎講義で重視していること
実はデジタルハリウッド大学で講義を持つ前に、学部長の高橋先生から言われたことは「自分が考えたことを作品にできる人を育てて欲しい」ということでした。Adobe Premiere Proを使いこなす学生を育てて欲しいというわけではなかったんです。これから先、ツールのパラダイムシフトがあるかもしれません。そんな未来でも大学で学んだことが活かされていくような講義を目指しています。
2024年度はAeを使って楽曲の世界観を表現する、Prを使って自分の好きなものを紹介する、という2種類の課題を2つの講義でそれぞれ出題しました。それぞれのソフトは作りたいものを作るために学び、使えるようになるための理解ではなく自分がこうしたいからこの機能を使うということの言語化もしてもらっています。
これは今後ツールが変わってもずっと必要な考え方だと思うし、それを身につければ誰にも奪われない強みを手に入れているはずだからです。
ワークフローの理解をすること
ひとくちにクリエイターと言ってもやることは様々。企画をするにしてもマーケティング視点なのか、制作視点なのか、どんな視点から作るのかどこを担当するのかで全く仕事の内容が変わります。ビデオグラファーの時代があって、一人で全てに対応するクリエイターさんが増え、YouTuberさんが作った制作会社が企業の仕事を受けるようになって…従来のテレビや広告業界のような作業の棲み分けがないお仕事がどんどん増えています。例に漏れず弊社も企画からYouTubeのアップロードまで一気通貫して行う会社です。でも私たちの強みは、二人とも会社員の経験があるということだったりもします。
従来のワークフローを理解しているから、クライアントと正しく会話ができる。クライアントと正しく会話ができるから、仕事を継続して依頼いただける。そうやって生き残ってきました。
今年度は業務量を増やすことを目標にしていたり、学生をたくさん抱えているため彼らの働き口になればと、同業の方との協業にむけた打ち合わせもたくさん合ったのですが、雇用体制・見積もり体制など疑問が残る方も多く、ワークフローを正しく理解してもらうことの重要性をひしひしと感じています。
野良のクリエイターと差をつけるための強みを身につけろ
クラウドソーシングなどでクリエイターとして簡単に仕事を始められる時代、お金をもらって仕事を請けたらその時点からプロであるとは思うのですが、前の人ができて自分ができない仕事を頼まれるケースなどもあるかと思います。自分の見積もりの根拠はなんなのか、よそはどんなことをしているのか自分はどんなサポートができるのか、付加価値はなんなのかなど、自分をアピールできる状態でお仕事をするのが一番いいです。そういったことは知識や経験に基づくものになりますので、学んで実践して場数を踏んでいくことで進んでいくことしかないと思っています。
ただ作るのが上手い人、は間違いなく生成AIに取って代わられます。生まれたばかりの野良のクリエイターとの差別化は、自分の強みを言語化し、仕事に対して信念を持って取り組むこと。強みを身につけてクリエイターとして生き残っていきましょう!私も頑張ります!
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