ポテトチップス:クレーマーへの嫌がらせから生まれたサクサク食感。痛快な都市伝説と地道な真実
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サクサクの食感で世界中から愛されるポテトチップス。このお菓子の誕生秘話として「クレーマーへの嫌がらせで作られた」という痛快な逸話が広く知られています。
しかし、歴史の真実は少し違いました。怒りの伝説の裏側に隠された「もう一つの大逆転劇」に迫ります。
痛快すぎる「怒りの誕生伝説」
まずは、広く信じられている痛快な伝説からご紹介しましょう。
1853年、アメリカのレストランに一人の大変気難しい客がやってきました。その客は、シェフのジョージ・クラムが作った自慢のフライドポテトを一口食べるなり、「分厚くてフニャフニャだ。作り直せ」と何度も突き返しました。
プライドを傷つけられ、怒り狂ったクラムは「二度と文句が言えないよう、フォークで刺せないくらいペラペラにしてやる!」と純度100%の嫌がらせを決行。ジャガイモを紙のように薄くスライスし、カチカチになるまで揚げて大量の塩を振りました。
しかし、それを食べた客は激怒するどころか「これこそ私が求めていたポテトだ!」と大絶賛。クレーマーへの復讐が生んだ大逆転劇……これが「ポテトチップス誕生の瞬間」として広く語り継がれている有名なストーリーです。
伝説の裏の「史実」と、最大の弱点
非常にドラマチックで痛快なエピソードですが、近年の歴史研究では、これは後年になって作られた「俗説(都市伝説)」である可能性が高いとされています。実際には、クラムの時代より前の1820年代から、イギリスの料理本にはすでに薄切りのフライドポテトのレシピが存在していました。
とはいえ、クラムのレストランがこの「サラトガ・チップス」を名物として提供し、大人気を博したのは事実です。しかし、当時のポテトチップスには、全米に普及するための「致命的な弱点」がありました。
それは「すぐに湿気てしまう」ことと「粉々に割れてしまう」こと。
当時のポテトチップスは、大きな樽やガラスケースに入れて量り売りされていました。そのため、買ってきた頃には油が酸化して湿気ていたり、樽の底のチップスは木っ端微塵に砕けていたりしたのです。これでは遠くの地域へ輸送することができません。
ポテトチップスが「地元レストランの美味しい名物」の枠を飛び出し、世界中の誰もが愛するスナックになるためには、シェフの怒りではなく、ある「全く別の革命」が必要でした。
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