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教室で本の壁を積み上げた陰キャ、起業家になる

14歳、嫌いなものは休憩時間。読みもしないニーチェの詩集でウォールマリアを築いた。ボッチだったからである。

「読書おもしれー」

ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』を開いて、アンニュイな雰囲気を演出。さらにゲーテの詩集も数冊ほど積み上げ、賢さをプラス加工。しかし、壁なので、頭には入らない。

さらに残念なことに、ウォールマリアに防音機能がない。
女子たちキャイキャイした笑い声が鼓膜を揺らす。


たかが10分。

防御力の弱いウォールマリアでも、何とかやり過ごせる。
自分より能力も容姿も優れた同級生たち。
目の前で難なくこなされる人間関係。

何もかも、繊細な思春期の心を刺激するから、私は壁の中でジッと自分を守っていた。


そんな陰キャ、20年後に起業家になる。

異世界転生で魂が入れ替わったわけではない…けれど、高校卒業と同時に、魂を入れ替えて、がむしゃらに生きてきたからだ。

友達なんか居なくたっていい。
人の目を気にせず、やりたいことをやり尽くそう。

触れればケガをするような、エッジの効いた女子大生となって、海外留学やサークル活動、バイト、エッセイコンクールなど、しこたま活動した。
教員採用試験のために年末年始もお盆も返上して、勉強しまくった。合格した。

教員になってからは、有無を言わさぬ全力疾走がスタート。
授業、部活、生徒指導、学校行事…あっちもこっちも走り回って、毎晩泥のように眠る。


ふっと息をつけたのは、子どもが生まれてからだ。

久しぶりにゆっくり息を吸ったとき、20年以上、埃を被っていた夢が顔を出した。

「書くことを仕事にしたい」

その思いに気づいた瞬間、どんどん溢れてきた。
webライターになった。
天職だと思ったけれど、書くことを仕事にする大変さも知った。



多世代共生を実現したくて介護職に就いたけれど、書くこと以上の天職はないのだと気づいた。

ただ言われたことを書くんじゃない。
もっと、人々の内側に眠っている思いを世に出すための、文章を書きたい。


そう思って、「文筆屋」を開業した。
注文殺到、満員御礼…なんてシンデレラストーリーはまだ少し先だ。


妻として、ママとして、役割はある。
けれど今が一番、10代のときよりも”自分らしい”って思える。


14歳の私が今の私を見たら、きっとギョッとする。
彼女の嫌いな陽キャに見えるかもしれないけれど、ウォールマリアは今も私のそばにある。


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茨木彩菜|作家・文章コンサルタント サポートしてくださるんですか?ありがとうございます😍💖息子の大好物のバナナを買ってきます🍌

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