【ヤクルト新戦力】ドラ4・増居翔太の「修正力」──オープン戦で示した新人王候補の資質
2026年3月4日、オープン戦・ソフトバンク戦。みずほPayPayドームの照明の下で、投手の投げた球が白く際立って見える。オープン戦といっても、失投はそのまま失点につながる。──それがプロの世界だ。
6回からマウンドに上がったヤクルトのドラフト4位・増居翔太が、3回を無失点で抑えた。奪三振は5つ。8回は3者連続三振で締めた。
ヤクルトのドラフト4位・増居翔太が、プロの実戦で最初に示した武器は「球威」でも「球種の多さ」でもない。「修正力」だった。
2月22日の阪神戦で2回3失点。本人は「投げミスを見逃してくれない」とプロの厳しさを口にしつつ、「ストライクゾーンで勝負できた」と振り返った。そして3月4日、ソフトバンク戦で答えを出す。阪神戦の痛みが、ここで「修正力」として印象付けられた。
プロローグ:オープン戦の評価軸は「修正力」
オープン戦で一番評価されるのは、好投そのものではない。打たれた次の登板で、何を変えてくるか。どこを直してくるか。そして、その直し方が「再現可能」になっているか。
増居の場合は、ここが明確だ。阪神戦は「通用しない点」が見えた。ソフトバンク戦は「修正した点」が見えた。この対比が、そのまま開幕前の価値になる。
ここで言う修正力は、根性論ではない。
ストレートの出力(球威)
決め球の精度
間(テンポ)の使い方
この3点を、短い期間で「結果が出る形」に直せるかどうかだ。
1️⃣ 阪神戦──ゾーン勝負が通じない瞬間
2月22日、浦添。阪神戦で増居は4回から2番手で登板。この回は2死二塁のピンチを招きながら、熊谷を内角直球で見逃し三振に取り、無失点で切り抜けた。
問題は5回だった。近本、中野、高寺に3連打を許し無死満塁。犠飛などで3失点。最終的に2回6安打3失点。
増居は試合後、こう言っている。「打ち損じがないというか」「甘いボールとか投げミスを見逃してくれない」
要するに、「ゾーンに投げる」だけでは足りないということだ。ゾーンの中でも「甘い球」は見逃されない。
ただし、収穫もあった。「たくさん打たれたんですけど、変わらずにストライクゾーンで勝負できたのは良かった」
四死球で逃げず、ゾーン勝負を継続した。この「逃げない」があるから、次の登板が「修正」の舞台になる。勝負を避けずに投げた投手は、次に「勝負の仕方」を変えられる。
2️⃣ 本人が言語化した修正ポイント──球威・出力/決め球
キャンプ打ち上げ。増居は新人でただ一人、1軍キャンプを完走。「けががなかったのはよかった。実戦も投げられて課題もわかった。これからどんどん課題を克服していければいい」
そして阪神戦を受け、課題をこう整理した。「ストレートの球威、出力。決め球としての変化球」さらに「パフォーマンスのレベルをまず上げないと」。
阪神戦の内容を、この言葉で整理すると分かりやすい。
ストライクは投げられる(=ゾーン勝負はできる)
でも「甘いストライク」はプロに拾われる
だから必要なのは、ゾーン内でも押し切れる出力と、最後に振らせる決め球
修正は勢いではなく、やることを決めて進める。増居はそれを言葉にできる。だから次の登板で手を打てるし、直すのも早い。プロで生き残る投手は、だいたいこういう整理ができる。
【増居翔太ドキュメント】
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では、自ら言葉にした課題を、増居は次の登板でどう修正したのか。阪神戦から12日後のソフトバンク戦では、3回無失点、5奪三振。その数字の裏で、ストレートの出力、決め球、そして「間」はどう変わっていたのか。二つの登板を比べながら、増居翔太の「修正力」の正体を追ってみたい。
© 2026 ibukiwriter|伊沢いぶき
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