ヤクルトのドラ4左腕・増居翔太、再浮上への土台作り
ファーム調整で見えた課題と、もう一度見たいあの躍動感
2026年4月、東京ヤクルトスワローズのドラフト4位左腕・増居翔太は、巨人戦でプロ初先発初勝利を挙げた。彦根東高校、慶應義塾大学、トヨタ自動車を経てプロ入りした左腕が、プロのマウンドでつかんだ一勝。高校時代から増居を見てきた者として、あの日の勝利は素直にうれしかった。
ただ、プロ初勝利は物語の結末ではない。むしろ、そこからが本当の始まりだった。
プロ初先発初勝利のあと、増居翔太は再びファームで調整を続けている。それは後退なのか。それとも、長く活躍するための土台作りなのか。6月の登板を見ながら、今の増居の現在地を整理しておきたい。
6月17日のDeNA戦では7回1失点と好投した。しかし、1週間後の6月24日、同じDeNAを相手にした登板では5回4安打2失点、奪三振0。大崩れしたわけではない。だが、投球内容を見ていくと、一軍再浮上へ向けた課題はかなりはっきりしている。
今の増居翔太は、どこに立っているのか。プロ初先発初勝利の熱が少し落ち着いた今だからこそ、数字と映像の両面から、その現在地を記録しておきたい。
※2026年7月16日の一軍再登板と、翌17日の登録抹消について、本文末に追記しました。
1. 初勝利は「通用する可能性」を示した
4月の巨人戦で、増居は一軍でも勝負できる可能性を示した。プロ初先発という緊張感のある舞台で、試合を壊さず、勝利投手になった。即戦力左腕として期待されたドラフト4位が、最初のチャンスで結果を出したことは大きい。
しかし、一度勝つことと、一軍で投げ続けることは別である。プロの先発投手に求められるのは、相手に研究された後も、状態が万全でない日も、シーズンを通して試合を作る力である。
首脳陣が初勝利後の増居をファームに戻したのは、単なる降格というより、もう一段階、先発投手として仕上げる必要があるという判断だったのではないか。実際、ファームでも増居は中継ぎではなく、先発として登板機会を与えられている。
つまり、見切られているわけではない。だが、一軍ローテーション投手として完全に信頼を勝ち取っているわけでもない。今の増居は、その中間地点にいる。
フレッシュオールスターにも推薦選手として名前はあったが、最終的な出場選手には選ばれなかった。この大会での登板が、増居にとって一つの転機になればと期待していたが、その機会はなくなった。あとは、ファームで一つひとつ内容と結果を積み上げていくしかない。
2. 数字で見る増居翔太の現在地
6月24日の登板終了時点で、増居のファーム成績は9試合、41回2/3、1勝2敗、防御率3.89。被安打42、被本塁打4、与四球11、奪三振21である。
防御率だけを見れば、ファームで通用していない投手ではない。しかし、投手の内容を見るには、防御率だけでは足りない。そこで、いくつかの指標に分けて見ていこう。

WHIP約1.27、BB/9約2.38という数字を見ると、増居が四球で自滅する投手ではないことが分かる。ここは彼の持ち味である。ゾーン周辺に投げる力があり、試合を完全に壊すタイプではない。
一方で、最も気になるのは奪三振である。K/9は約4.54。これは、一軍を目指す先発投手としてはかなり低い。特に直近のDeNA戦2試合では、6月17日が7回1失点で奪三振2、6月24日が5回2失点で奪三振0。合計12回で奪三振2、K/9にすると1.50である。
この数字は、今の増居をよく表している。
荒れてはいない。しかし、マウンドを支配しているわけでもない。
コースに投げる力はある。だが、追い込んでから仕留める球が見えにくい。打たせて取る投球は一つの形ではあるが、プロで先発として生き残るには、ピンチで三振を取りにいける球が必要になる。守備や打球運に左右されるだけでは、一軍の打者相手には苦しくなる。
【増居翔太ドキュメント】
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数字の上では、大きく崩れているわけではない。では、なぜ6月24日の投球に、私はこれまでの増居とは少し違うものを感じたのか。映像を追っていくと、身体の変化、ストレートの出力、決め球、そして投球のテンポに、今の増居が抱える課題が見えてきた。一軍再浮上に必要なものは何なのか。もう少し深く考えてみたい。
© 2026 ibukiwriter|伊沢いぶき
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