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氷河期世代AD、テレビの片隅で。#27余談「BreakingDownに出るなら倒したいアノ3人」

結婚して、

娘が2人生まれた。

すると人は、

急に“守る”ということを考え始める。

僕もそうだった。

家族を守らねばならない。

なので僕は、

ボクシングに通うか、

キックボクシングに通うか、

真剣に悩んでいた。

かなり平和な日本で暮らしているのに。

でも父親になると、

変な想像をする。

例えば、

海外旅行中、

ギャングに襲われるかもしれない。

その時、

手を押さえられても、

キックなら反撃できるかもしれない。

そう思った。

なので、

キックボクシングにした。

あと、

娘に彼氏ができた時、

「お父さん格闘技やってる」

となれば、

多少の抑止力になるかもしれない。

かなり小さい抑止力である。

でも、

父親とはそういう生き物なのだと思う。

そんな感じで、

キックボクシングへ通っていたある日。

サンドバッグを叩いていると、

頭にチャゲアスの
YAH YAH YAHが流れてきた。

♪今から一緒に 
これから一緒に殴りに行こうか~

そして、ふと思った。

もし僕が、

BreakingDownに出るなら、

戦いたい相手が3人いる。

1人目。

「辞めたら業界で働かせない」

と恫喝してきた、

『恫喝エロメガネ竹田』

ゴング開始。

ジャブ。

ワンツー。

右ミドル。

ダウン。

僕の圧勝。

2人目。

「こいつと仕事するなら、ウチはもうお宅とは仕事しません」

と、

僕の仕事を潰した、

『チョコボール西山』

ゴング早々、

右膝蹴り。

山本KIDみたいに。

即KO。

3人目。

『僕の左目を殴るのが好きだった田中』

僕も右ストレートで左目を狙いたいところだけど、

たぶん田中はリングには来ない。

「体調が悪い」

とか言いそうだし、

もしかしたら当日バックレるかもしれない。

逃げ足だけは速かったから。

そんなことを、

ミット打ちしながら、

たまに考えていた。

でも、

たぶん。

あの頃の悔しさとか怒りが、

今の自分のエネルギーになっている部分もあるのだと思う。

もちろん、

実際には誰も殴っていない。

いや、

殴らない方がいい。

普通に捕まる。

だから僕は、

サンドバッグを蹴る。

すると、

なんとなくスッキリする。

人類はたぶん昔から、

こうやってストレスを発散してきたのだと思う。

知らんけど。

でも今なら分かる。

本当に戦いたかったのは、

あの人たちじゃなかったのかもしれない。

仕事がなくて不安だった自分。

自信がなかった自分。

悔しくても何も言えなかった自分。

たぶん、

あの頃の自分自身だった。

……とか、

そんなカッコいいことを言いたい。

でも実際は、

サンドバッグを蹴っていたら腰を痛めた。

軽いぎっくり腰だった。

ギャングには勝てるかもしれない。

でも、

腰には勝てなかった。

#氷河期世代 #創作大賞2026 #お仕事小説部門 #実話


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