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マイクロソフト社はアメリカの顔をした中国企業なのか? 中国当局に忖度したBing検閲がアメリカ、カナダにも

【2024年3月15日アメリカ上院議員がこの件でマイクロソフト社を非難したことを追記】
マイクロソフト社が中国で展開している検索サービスBingは中国当局の規制に忖度した検閲が行っていた。この検閲は中国国内だけでなく、アメリカ、カナダにも及んでいた。さらにBingを利用するWindowsスタートアップメニューやEdge、Bingのサジェストキーワードを利用するDuckDuckGoでも同様の検閲が行われていた。
現在、中国ではBingは百度と並ぶ検索サービスとなっている。
マイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツは強烈な親中国であり、同社の検索サービスの開発部隊の多くは中国人技術者中心に構成され、1万を超える中国企業と契約している。ビル・ゲイツは毎年中国を訪問しており、2023年6月に習近平と会談した際、習近平はビル・ゲイツを「旧友」と呼んだ

●概要

2024年3月7日にBloombergが「How Microsoft’s Bing Helps Maintain Beijing’s Great Firewall」(https://www.bloomberg.com/news/features/2024-03-07/microsoft-s-bing-helps-maintain-china-s-great-firewall)という記事を掲載した。これに先立つ2022年5月19日CitizenLabは「Bada Bing, Bada Boom Microsoft Bing’s Chinese Political Censorship of Autosuggestions in North America」(https://citizenlab.ca/2022/05/bada-bing-bada-boom-microsoft-bings-chinese-political-censorship-autosuggestions-north-america/)というレポートを公開している。

このふたつの記事をまとめると、冒頭の要約になる。検閲しているのはサジェストキーワードで、性的な言葉や政治的言葉(党指導者の名前、反体制派の名前、その他政治に関わる人物の名前など)を表示しないようにしている。対象は中国語だけでなく、英語にも及んでいる。
さらにこの検閲はアメリカ、カナダにも及び、Bingを利用するWindowsスタートアップメニューやEdge、Bingのサジェストキーワードを利用するDuckDuckGoでも同様の検閲が行われていた。

Bingは天安門事件の際に、一部のキーワードを検閲していた前科もあり(その際は人為的ミスと言った)、どこまで意図的なのかはわからない。少なくとも中国版Bingについては中国当局からの指示より前に忖度して検閲を行っていることが記事で確認されている。

背景には強烈な親中国で、毎年中国を訪問して習近平に「旧友」と呼ばれるマイクロソフト社の創業者のビル・ゲイツの存在がある。同社の検索サービスの開発部隊の多くは中国人技術者中心に構成され、1万を超える中国企業と契約している。

【2024年3月15日追記】Bloombergは同誌の記事が暴いたマイクロソフト社Bingの検閲について、アメリカ上院議員がマイクロソフト社を批難したことを伝える記事を掲載した。この批難に対してマイクロソフト社はBingが中国でもっとも検閲のゆるい検索サービスであるとし、中国市民に貴重な機会を与えていると弁明した。しかし、政治的、宗教的なトピックスについては百度よりもBingの検閲の方が厳しいという調査結果が出ている。

US Senator Urges Microsoft to Pull Bing Out of China
By Ryan Gallagher

https://www.bloomberg.com/news/newsletters/2024-03-13/us-senator-urges-microsoft-to-pull-bing-out-of-china

この構図は、「アメリカの顔をした中国企業」を思い起こさせる。

●アメリカの顔をした中国企業とは?

アメリカの顔をした中国企業とは、アメリカ企業でありながらも、資本あるいは人的な面で中国の影響を受けている企業を指した言葉。
典型的な例としては、かつてのZOOMがある。同社は中国に開発拠点を持ち、中国当局の指示によって会議内容を傍受、検閲する社員が社内にいた。問題があった場合は会議を中断したり、利用者IDを停止するなどの措置を行っていた。この問題はまずCitizenLabが発見し、その半年後に関係者が訴追された。
今回のマイクロソフト社の問題はかつてのZOOMをほうふつさせる。
くわしくは下記の記事をどうぞ。

アメリカの顔をした中国企業 Zoomとクラブハウスの問題https://www.newsweekjapan.jp/ichida/2021/02/zoom.php

●感想

この状態だと中国の国情法でマイクロソフト社の持つ情報は吸い上げられている可能性が高そう。それがどこまで及ぶのかはわからないが、開発拠点が中国にあるのはすごく気になる。

アメリカの顔をした中国企業の脅威はかなり深刻。だってアメリカの重要インフラの80〜90%は⺠間企業が保有しているわけで、情報通信関係になればもっと比率は高まる。この問題の裾野は広く、たとえば、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)の職員は、マイクロソフトの専門家からのアドバイスを受けているが、マイクロソフトは、米国での利益と、中国を含む世界での財政的な生き残りとのバランスを取っており、時にはアメリカの安全保障 よりも自社の世界的な利益を優先するという指摘もある。

このへんの話は以前、下記の記事に書いた。このへんは経済安全保障と情報戦がからんだ話になりそう。正直、セキュリティクリアランスなんか以上に深刻で、直接な脅威なのだけど、アメリカが対処できないから日本では話題にもならないみたいだ。

アメリカに対する中国のデータ優位性を莫大な事例から分析した『Trafficking Data』
https://note.com/ichi_twnovel/n/n968ce23c47b0

中国政府が世界各国からデータを入手する3つの手法とは...
https://www.newsweekjapan.jp/ichida/2022/11/3-2.php

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