迷いの森
迷いの森に行ってはならぬ
そう聞かされていた
しかし私の身体は限界を迎え
いつもの判断力が鈍っていたのかもしれない
足はいつしか
まばゆいばかりの煌めきを放つ
湖に向かっていた
茂みに身を横たえ
新緑の息吹を感じていると
生き返った気持ちになる
汗と泥を落とそうと
湖に向かいながら
ヒトの気配を感じた
空想上の生き物だと
ヒトは私をこう呼ぶ
ヒトの瞳の曇りが
わたしを見えなくしているだけだというのに
どうせ見えてやしないだろう
構わず進む目の前を歩くひとりの女性
陶器のような白い肌
腰まであろう髪は金色に輝いて
躊躇うことなく衣服を脱ぎ捨て
湖に入っていく
なんという美しさ
なんという芳しい香り
女神か…
違うわ。待っていたのよ
グリフィン、あなたを
迷いの森に行ってはならぬ
その戒めを破り
あまつさえ契りを交わした私は
やがて旅立を迎えるだろう
空想上の生き物ではない
その証しに
女神の中には新しい生命が芽生えるだろう
迷いの森に行ってはならぬ
しかし行けば
新たな道へと続くものがあるだろう
そしてそれは
安らぎと満ち足りた思いを運んでくるだろう

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