見出し画像

ジャンプ+新連載「どろん」とマンガ第一話という物体の扱い

このnoteは私がしたい社会実験も兼ねるから結論を先頭に書きたくない。末尾に結論はまとめてあるから知りたい人は目次使用/スクロール推奨
ちゃんと文章が読める人間はどの程度、世にいるか確認させて?

まじ頼むで。

俺は朝からビンビンだ。
これは中年男性の汚い股間事情ではなく、私の漫画センサーがこの漫画の投稿された金曜の朝に激しく反応した現象を端的に示した表現だ。


すごい漫画がきた。ジャンプラに。
東屋 耕佑(あづまや こうすけ)先生の新連載作品。
どろん」だ。

応援している漫画作品が多い私だが、また一つそれが増えたことが嬉しい。でも個人的になんか納得できないコメントがあった。「この漫画が読みづらい」というコメントが結構あったことだ。そうかな?と思った。私は逆にとんでもなく読者に配慮された読みやすさを感じたのだが。

そういった人とバチバチにやり合うのは不毛だ。
私が思う、という主観100%を保険として、この「どろん」という漫画第一話から読み取れたものを全部出したい。とりあえず全部出す。

それではいこう。東屋先生に敬意を払い、私もこのnoteではできるだけ読みやすさに配慮したい。というか私が書く記事全て読みやすくありたいが。

私の言ってることが漫画中のどこに書いてあるのか、それを漫画本編を読んで探してほしいので、以降の記事では画像の引用は一切行わないという縛りで語りを進めていく。なのでそのつもりで。必要であれば該当ページとそのコマ指示する。


マンガの読みにくさとは何なのか?

開幕からギアと火力を上げていいか?
まず文字が多いので読みにくい、私は「どろん」を読めませんでしたと自己告白しているのは構わないのだが、そのような感想が生まれるのはこの漫画への期待感が、その人の希望と違っていたことで生まれている現象だと私は推察する。

ようは、がっかりしたのでは?
読めなかったではなく、読む気が進まない、読む気が湧かないとかそういう表現はどうでしょう?こちらがより正確な読後の感情ではないでしょうか?

そもそもマンガの第一話というのは画風と作風の初公開なのだ。
読者とマンガの初対面だ。
たとえ話として、こんな人物を想像してほしい。
婚活イベントに行き、男女でお話をするとします。
お互い初対面なのに、対面の人間が「私の好みではないので」とバッサリ言い放ち、こちらをを切り捨てる婚活プレイヤーだったらどう思われますか?ろくに会話もせず完全に顔ガチャだけしてチェンジする奴。

そういったプレイをしていませんか?「読めません」と言ってる読者は。

あまりにも早計。あるいは判断が早すぎる。鬼滅の刃の鱗滝さんもびっくりだ。そういうスピード感だ。

これも単に「私好みの画風あるいは作風でなかった」で言い換えができませんか?婚活の例えを継続して「まぁまぁ好みだからキープ」というような判定ラインというのを、この漫画を読んで超えなかったのでは?

だったらそう言えって。「私好みではない漫画」ですと。

こうなると全然違うし、個人の好みは尊重されるべきだ。
でも言葉があまりにも違いすぎる。ちゃんと言葉を選んでほしい。たとえば画風でいうとジャンプ漫画のジョジョシリーズなんて最たる例だ。

ジョジョシリーズは画風に耐性がなさ過ぎて読み進めるのが難しい人がけっこういるパターンの漫画の筆頭作品だ。

実情は絵に慣れてないから読みにくいなのでは?
慣れたら読めるのでは?

これを筆頭に「読みにくい」という五文字の評価は製作者やその評価に納得していない別の読者へはあまりにも言葉足らず。ただの感想という免罪符でマイナス感情発生器になった「読みにくい」を公共の場にばらまかないでほしい。

言葉の扱いは気を付けよう。そう言いたいだけだ。
秒で書いた、その五文字の「読みにくい」
本当に自分の感情に即した感想を記しているか?
言葉は投げ石にもなるが福音にもなる。
でも扱い方次第だ。肝に銘じでほしい。
とりあえず反応したいならイイネや読みました!みたいな報告で留まるのがベターだ。読みにくいというのであれば「どこが」とか具体例を示すもしくは「なんとなく読みにくい」でもいい。この漫画には伝えづらい違和感があるというニュアンスになるからだ。

単なる「読みにくい」は強い言葉だ。
否定要素のある言葉を使うならちゃんと理由をつけてほしい。
いま貴方の前にある漫画は誰かが書いたものだ。それを忘れないでほしい。これはもちろん私への自戒もある。

類型で「面白くない」もある。
こちらも気を付けたい。使ってもいいけどね。
そのたった五文字で超悩む人がいる可能性に責任もって、吐けばいいよ?

ジャンプ+「どろん」が素晴らしい理由

ここからは私の力を試させてほしい。順番にいこう。

①作中の文字の扱いが演出的に素晴らしい

この漫画における文字とは?
登場人物のセリフをはじめ、ザザッとかトスッとかのオトマトペ、状況説明の地の文章、これらを指す。

私はこの漫画の文字というのは無駄がないと思う。

全部必要なのだ。あらゆる文字は必要だから置かれている。この漫画の文字たちは明確な意思の元、計算されて構成し、読者のために設計された必要パーツになっている。この漫画に対して私はそう感じる。

そしてこの漫画「どろん」が文字が多いのは理由がある。
というより演出なのだ。それが理解できない人がいるのが残念だ。

これは書かざるを得ない要素なのだが「心の声」というエッセンスがこの漫画では非常に大事だ。だから声というのを文字におこす。ゆえに文字は多く見える。それらは表記的に地の文として見られがちなのだが、これらは演出なのだ。そう見えないでしょうか?私にはそう見えます。

そしてこの演出は最高にクールだ。ぞくぞくする。こんなにも的確な能力の演出ができるマンガに出会えたことに感謝したい。

というかこれは読書全般に私が言いたのだが、文字をすべて読む必要は目的による。漫画も必ずしもじっくり全文を読まなくては漫画を読んだことにはならない、なんてことはない。

もっと気軽に読んでいいよ?深く知りたければじっくり追っていいし、ザッと知りたかったらそのようによめばいい。作中の世界設定が小文字になってる意味を考えてほしい。注釈なのだ。必要な人だけが読めればいいから小さく書かれるのだ。おわかりか?

②シーンの飛躍がない(少ない)

前後のコマ、あるいはページ、大きくは話単位、巻数単位までスケールはあるのだが「あれ?結局いま何したんだっけ?何のための話を読んでいるんだっけ?」といういわば読者が迷子になるシナリオ展開がないことを私は漫画の評価点として非常に大事にしている。だから中だるみがあるマンガは離脱しがちだ。私の読書傾向である。

この点の完成形の一つは「鋼の錬金術師」を挙げておきたい。超名作。

③謳い文句「ダークファンタジー」がずれてない

先頭のカラー1Pと見開き2,3Pでから抽出できる要素がある。

乱世上等!和風ダークファンタジー、開幕――!!

これは編集による謳い文句ではあるが、この作品はダークファンタジーですよ、と宣言して書いてあることがその通りだったからだ。この作品の大事なエッセンスとして「人、妖怪、陰陽術がある日本ベースの、青年を主軸とした若い人物が動く物語ですよ」というのがここで予告される。

ここまでが私のワンセンテンスだ、よろしいか?

そして読んでいくと、それが全くぶれてないことがわかる。作者は宣言に対してウソをつかなかったワケ。私の期待を裏切らなかった。しっかりダークファンタジーだった。それに安心できた。

④既存漫画へのアツい尊敬の心がある

リスペクトだ。この漫画のコメントで平成漫画や藤田 和日郎(ふじた かずひろ)作品みたいで好きだ、というものがあり私はこれに同意する

藤田氏への明確な意識があり、「うしおととら」を筆頭にそれらが素晴らしいから自己解釈してエネルギーとして漫画にした。それをありありと感じるのがなんとも青春活劇漫画として嬉しい。かくあるべき。

具体的には「どろん」は人間と妖怪と神、およびそれらのハーフ、作中では半妖、半神といった呼び方をするのだが「人間と人間でないもの、およびそれらのハーフ」という人物構成は藤田作品のテンプレかつ黄金律なのであるが、この作品もそれに該当する。いいよね~。

加えて特筆すべきなのは主人公の髪の扱いだ。
主人公「白日 杢(はくじつ もく)」は自身の出自からとある特殊能力を持っている。その扱いも考慮して男子高校生にしては珍しい長髪を後ろで束ねるサムライスタイルをオフのシーンで、学校に行ったオンのシーン際はメカクレキャラに見えるように髪を下ろす。二面性があるのだ。

このように自身の髪の扱いが複数あるというのがなんとも、うしおととらっぽいが完全に同じではない。あちらは能力発動時に主人公の髪が伸びるスタイルだが、こちらは使い分けで能力依存で、戦闘中に毛髪量が変わるものではない。いいね~、好きだね~この表現。

⑤今は必要ないから説明はまた今度ねとしっかり作中に書いちゃう

なんて誠実な漫画なんだ。
そう、漫画というのはいちいちカメラを向けたものに長文で説明を当てたら展開を進めるのが難しくなるのが一般的だ。例外もあるが。

だからこの漫画は読者のことを考えてる。
「今はこのぐらいの情報開示でいいよね?」ってこんなにも直球で書いてあるのが申し訳ないぐらいだ。ユーザーフレンドリーを感じる。

⑥視線誘導がすばらしい。

視線誘導も漫画を語るうえで欠かせない。
どう読んでほしいか、作者の設計したラインのことを漫画では視線誘導とよんでいるのだが、私はこの漫画は間違いなく視線誘導はうまい判定をしたい。というか、はぁ、ホントに悲しい現実なのだが、これ読めない人そんなに多いの?マジでいってる?

火力高めに発言させてもらう。読めないのか?
絵本じゃないと読めないのか?ページを開いてぱっと読めないと気が済まない?ちょっとさぁ~、教養として頼むよマジで。この漫画を読めるレベルになってくれよみんな。

どういう視線誘導であればいいか皆さんは語れるのか?
一般的な漫画はページ右上から左下に流れを作るものだが、手塚治虫やドラえもんのような名作漫画とは違い、現代の漫画はコマ割りを斜めに切ったりサイズを微妙に変えたり、演出として流れるようにオトマトペを置いてみたり、読む流れは基本的に意識して作られる。

それをフワッと視線誘導がな~っていうのは非常に浅いし尊敬するこころがない。なんでもかんでも悪い、よくない、これは俺のただの感想だから。で逃げるんじゃねぇ。作者は計算して作ったものがダメでしたってなったら「どこが?」って聞きたいんだよ。ベストを尽くしてるんだから。

それを石だけ投げるように「視線誘導が甘い、悪い?」
まったくもって建設的でない。悪質だ。言わないほうが良い。あなたのコメントはただの感想かもしれないが具体例のない批評はネガティブダメージが生まれるのをもっとよく考えてほしい。

魂削って漫画書いてもらってるんですよ?ちょっとはそのコメントをみた作者とかそういう目線無いのかなぁ・・・

すみません。これは完全に現代社会への個人的な愚痴です。
でも残しておきたかった。

⑦確立した気骨ある画風

④でも述べた既存作品の自己解釈として磨かれ、研鑽された「この画風で書く!」という気骨を感じました。というかマジで藤田作品への理解度が高くないとこれは書けないですよ!

あの時代の漫画だ!との他のおっさんの食いつきがすごいのでよくわかった。俺もおっさんだが完全に同意

ちなみに藤田先生は現役で連載漫画を持ってる。
『シルバーマウンテン』(副題:銀嶺 Silver Mountain)
これもすごい。ここでは話題を広げないが「異世界転生をやるならこうやるんだよ!」を表現してるイケイケ漫画だ。

⑧キャラの顔の表情表現が激しい

これは物語というのはキャラが動いてこそ、そのキャラの状況説明は文章ではなくそのキャラの行動、立ち振る舞い、表情の変化で書くというのが漫画であると自分は思っていて、まさにそれが体現された作品なのである。

この「どろん」第一話におけるそれが最も顕著に確認できるのが主人に仕える式神たちの口舌バトルのシーンで「お前の飼い主はササっと死ねばいい」と言い放つ(要約)敵を睨み返す、主人公のバディキャラの表情

これがまぁ、ヒリツキのあるいい表情であること。
当然だ、絆のある主君を馬鹿にされた上に命もないと宣言されてただで済ませるキャラはこの世界では概ね存在しない。それが青春活劇なのである。

一方で日常の喜怒哀楽も明確でパリッとしている。この部分も読みやすい漫画に共通する一要素だと私は信じている。

⑨「種族の和平を探る」というテーマと主人公の設定のシナジー

この漫画で何を書きたいかも、私にははっきり読み取れた。いわゆる生まれの違う種族の対立とそれに伴う混血二世の扱いだ。これは現実でも拡大解釈すれば往々にして見れる、答えのない問題だ。

でも気骨あるこの東屋先生はすでに物語の方向性を主人公、白日に託している。

ここまで読んでくださる読者は既読済みと信じて設定を少しばらそう、主人公は人間と神のハーフの混血二世で、しかも特殊能力を血統として備えるも完璧ではないのだ。

そうした主人公が、この差別対立構造を「見つめる」

これがこの漫画でやりたいことだ。
私には、そう読み取れました。
なんて太すぎる骨を持っているんだろう。東屋先生は。あまりにも出来すぎている。ホントに初連載?

⑩デフォルメキャラやギャグシーンもかける

扱う物語が重厚なだけにメリハリが欲しい所だが、なんと一話で「できますけど?」と、スマブラの桜井政博(さくらい まさひろ)氏のような、さも当然かのようにこの要素が入ってる。すごい。

しかも設定的にすごい賢いのだ。高校生の学校生活に溶け込める大きさになるとか、ダメージはご神体の修復でも戻るとか、そこに関連する設定の絡め方もうまい。おいおいおい。スゲーな。

とりあえず、私がこの漫画は読みやすいと断じるにふさわしいだけの要素をできるだけ頑張って自分の言葉にしてみました。
ここまで長文に耐えられる聡明な諸君の共感が得られたらとても嬉しい。どうだろうか?

この記事のまとめ

要約1
漫画の感想として「読みにくい」は強い否定の言葉に見えやすい。できるだけかみ砕いた、あなただけの相応しい言葉で言い換えませんか?という提案

要約2
ジャンプ+新連載「どろん」のここがすごい!の説明
①作中の文字の扱いがうまい
②シーンの飛躍がない(少ない)
③ダークファンタジーを宣言してブレずに描く真摯な姿勢
④同ジャンル漫画への熱い尊敬の心ある画風、作風
⑤巧みな視線誘導と人物描写
⑥重厚なテーマ設定と主人公のシナジーが高い
⑦シーンのメリハリもつけられる

要約するとこんなかんじ。

2026/05/15 16:00 初稿要約


そして最後に、作者の東屋 耕佑(あづまや こうすけ)先生にお手紙を書いて終わりたいと思います。

東屋 耕佑(あづまや こうすけ)先生

あまりにも素晴らしい作品なので、私が読み取れた漫画の成分を、私だけの言葉で述べさせてもらいました。すべて誉め言葉です。
この漫画「どろん」は平成漫画をむさぼったオッサン世代を間違いなく取り込むでしょう。すでにこの作品がもつ魔力というのは確かにあり、私はすでに虜になってしまいました。とても新連載とは思えません。

この漫画で扱うテーマはかなり重く、いわば真っ向から王道青春活劇をやりたいんだ!という超ごんぶとな気骨ありすぎる作品がどのような着地を見せるのか楽しみで仕方がありません。

次回のお話、楽しみにしてお待ちしてます。
いちのじ

2026/05/15 16:00 初稿投稿


いいなと思ったら応援しよう!