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【読んで聴く解剖学】アランチウスとボタロの呪文『Fetal Circulation (胎児のワープ)』 (Vol.38)

[Intro: DJ Ichiro’s MC]

Welcome back. DJ Ichiroです。
僕らの心臓には、かつて「穴」が開いていた。 僕らの血管には、かつて「抜け道」があった。 それは、水の中で生きるための、完璧なシステム。
今夜のトラックは、私のレパートリーの中でも屈指のMasterpiece(傑作)
『Fetal Circulation -胎児の循環-』
複雑怪奇な胎児循環のルートを、ポップで中毒性のあるメロディに乗せました。 「アランチウス」「ボタロ」。 この呪文を口ずさめば、もう迷わない。

Now Playing:

『Fetal Circulation -胎児の循環-』 https://suno.com/s/IvisVLo66wDRUZaI
(歌詞)

[Intro]

肺には羊水 酸素もくれない 胎児の循環 始まるよ

[Verse 1]

胎盤から 臍静脈(さいじょうみゃく) 酸素と栄養たっぷりの 血液が通る へそから入った臍静脈 栄養多いぞ 肝臓へ行こう

[Pre-Chorus]

解毒や血糖値の調整は 母ちゃんがしてくれてる だから肝臓の中を通るのと 肝臓をワープ 静脈管(じょうみゃくかん)で下大静脈へ 直接行くのと アランチウス アランチウス 静脈管は アランチウス

[Chorus]

胎児の下大静脈 酸素と栄養がたっぷり 胎児の下大静脈 酸素と栄養がたっぷり 下大静脈から右心房 肺には羊水 酸素もくれない だから卵円孔(らんえんこう)から 左心房へ行っちゃうよ 卵円孔 卵円孔 右から左へ 卵円孔

[Verse 2]

左心房から普通に左心室 そして大動脈弓まで 最高の血液 頭と上肢に届けるよ 胎児の上大静脈 酸素も栄養も少ない普通の血 胎児の上大静脈 酸素も栄養も少ない普通の血

[Bridge]

右心房からすぐ下 右心室 肺動脈から出ていくけれど 肺には羊水 酸素もくれない だから動脈管(どうみゃくかん)から 大動脈弓の終わりに行っちゃうよ ボタロ管 ボタロ管 動脈管は ボタロ管

[Outro]

そこから酸素も栄養も 減ってしまうけど 胸から下に送るよ 最後は膀胱 内腸骨動脈 オヘソに向かって 臍動脈(さいどうみゃく) へそから胎盤へ 臍動脈 内腸骨は2本あるから 臍動脈は2本ある 臍動脈は酸素もらいに行く 臍動脈は酸素もらいに胎盤へ行く

[DJ Ichiro’s Liner Notes]

この曲の歌詞は、国試の重要ポイントそのものだ。解説しよう。
1. 「静脈管はアランチウス」 (Pre-Chorus) 胎児の肝臓はまだ未熟。だから、お母さんからの栄養を肝臓を通さずに、早く全身に送りたい。 そのためのバイパス道路が「静脈管」、別名「アランチウス管」だ。 この名前、おしゃれだろ?
2. 「胎児の下大静脈 酸素と栄養がたっぷり」 (Chorus) ここが最大のひっかけポイントだ。 大人の下大静脈は「汚い血(静脈血)」が流れている。 でも、胎児は違う。お母さんからの酸素たっぷりな血(臍静脈)が、アランチウスを通って下大静脈に合流するんだ。 だから、胎児の血管の中で「一番酸素が多いのは臍静脈」、次に多いのが「下大静脈」なんだ。これを覚えておくと、応用問題が解けるぞ。
3. 「動脈管はボタロ管」 (Bridge) 肺動脈から大動脈への抜け道、「動脈管」。別名「ボタロ管」。 これが閉じずに残ってしまう病気が「動脈管開存症(PDA)」だ。 ちなみに、この管を閉じさせる薬が「インドメタシン(解熱鎮痛剤)」。 逆に、心臓病の赤ちゃんで、手術まであえて開けておきたい時に使うのが「プロスタグランジン」。 薬理学とも繋がる重要な知識だ。

[Outro]

生まれた瞬間、オギャーと泣いて肺呼吸が始まると、これらの通路は役目を終えて閉じていく。 僕らの体には、そんな「進化の跡」が残っているんだ。 生命の神秘を感じながら、復習してくれ。
See you next stage. DJ Ichiroでした。

【ハッシュタグ】

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