【読む解剖学】SpO2低下の犯人は4人しかいない!焦らないための「酸素のロジック」 (Vol.31)
【読む解剖学】SpO2低下の犯人は4人しかいない!焦らないための「酸素のロジック」 (Vol.31)
[Intro]
みなさん、こんにちは。Ichiroです。
実習中や臨床現場で、モニターのアラーム音「ピコーン!ピコーン!」に心臓が止まりそうになったことはありませんか? 「SpO2(酸素飽和度)が下がった! どうしよう、とりあえず酸素上げる!?」 …その気持ち、痛いほど分かります。
でも、ちょっと待ってください。 SpO2が下がる原因は、無限にあるわけではありません。 実は、「たった4つのパターン」に分類できるんです。 犯人の顔ぶれを知っていれば、もう闇雲に焦ることはありません。
今回は、呼吸不全のロジックを「物流トラブル」に例えて解説します。
1. 通り道が狭い「閉塞性(へいそくせい)」
まず一つ目の犯人は、空気の通り道(気道)でのトラブルです。 細いストローで息をするのを想像してください。「吸えるけど、吐きにくい」のが特徴です。
COPD(慢性閉塞性肺疾患): タバコなどで気管支がボロボロになり、道が狭くなっています。
喘息(ぜんそく): アレルギーで気道がキュッと締まっています。
痰(たん)詰まり・誤嚥: これが現場で一番多い! 異物がバリケードのように道を塞いでいます。
2. 肺が広がれない「拘束性(こうそくせい)」
二つ目は、肺そのもののトラブルです。 肺という「風船」が固くなったり、潰れたりして、空気を十分に取り込めない状態です。
間質性肺炎: 肺が繊維化して「ヘチマたわし」のようにガチガチに固くなります。
無気肺(むきハイ): 術後や寝たきりの患者さんに多いです。背中側の肺がペチャンコに潰れています。
気胸・胸水: 肺の外側から空気や水に押されて、膨らむスペースがありません。
3. 現場が水浸し「拡散障害」
三つ目は、酸素と二酸化炭素を交換する「肺胞」でのトラブルです。 空気は入ってきているのに、交換場所が水浸しで、酸素が血液に渡れません。
肺炎: 炎症による浸出液で肺胞が溺れています。
左心不全(肺水腫): 心臓のポンプ機能が悪くて、血液が肺で渋滞し、血管から水が染み出しています。
4. トラックが来ない「血流不全」
最後、四つ目は一番怖いパターンです。 肺は元気で酸素も満タンなのに、それを運ぶトラック(血液)が来ない状態です。
肺血栓塞栓症(PE): いわゆるエコノミークラス症候群。肺の血管が詰まっています。この場合、いくら酸素を吸わせても、運ぶトラックがいないのでSpO2は上がりません。 これが「酸素投与しても改善しない」恐怖の病態です。
[Outro]
「狭い(閉塞)」「固い(拘束)」「水浸し(拡散)」「詰まり(血流)」。 この4つの箱を持っておくだけで、アラームが鳴った時の景色が変わって見えるはずです。
次回は、このロジックを80sのグルーヴに乗せた「暗記ソング」をお届けします。 もうパニックにはなりません。お楽しみに。
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