【読む解剖学】ホルモンの「通行手形」ルール 〜細胞膜という国境〜 (Vol.55)
ホルモンは、血液に乗って全身を旅する「手紙」です。
でも、目的地(標的細胞)に着いたとき、その手紙の渡し方には2つのルールがあります。
それは、ホルモンが「水(水溶性)」か「脂(脂溶性)」かで決まります。
1. 細胞膜は「脂(あぶら)」でできている
まず、細胞を包む「細胞膜」は、リン脂質という「脂の膜」です。 水と油は混ざりませんよね? だから、基本ルールはこうです。
水溶性ホルモン: 脂の膜を通れない。
脂溶性ホルモン: 脂の膜をスルーして通れる。
2. 水溶性ホルモンの戦略(ピンポン攻撃)
ほとんどのホルモン(ペプチドホルモン、アミン類の一部)は水溶性です。 彼らは細胞の中に入れません。 だから、細胞の表面にある「受容体(レセプター)」というインターホンを押します。 「おーい、仕事しろって指令が来たぞ!」と外から叫ぶだけです。 (※専門的にはセカンドメッセンジャーを使います)
3. 脂溶性ホルモンの戦略(不法侵入)
選ばれしホルモン(ステロイドホルモン、甲状腺ホルモン)は脂溶性です。 彼らは細胞膜(脂)に溶け込んで、ズカズカと細胞内へ侵入します。 そして、核(DNA)にある受容体に直接抱きつき、遺伝子を操作します。 だから、作用が出るのは遅いけど、効果は長続きします。
4. 覚え方:脂溶性は「甲状腺」と「副腎皮質・性腺」だけ!
全部覚える必要はありません。「脂溶性」だけ覚えれば、残りは全部水溶性です。
甲状腺ホルモン(サイロキシンなど)
ステロイドホルモン(原料がコレステロール=脂)
副腎皮質ホルモン(コルチゾール、アルドステロン)
性ホルモン(エストロゲン、テストステロンなど)
これ以外は、全部「水溶性」で「受容体は膜の外」です。
次回は、この鉄則をリズムで覚える楽曲編です。
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