子連れで市議会を傍聴してみたら、「思ってたのと違う」がたくさんだった
傍聴しようと思ったきっかけ
先月からハマって聴いているポッドキャスト『オトコの子育てよももやまばなし』。
男性パーソナリティーによる育児番組で、あるあるな悩みや迷い含め、様々な観点から育児を語っているのが面白い。
家事をしながら、気になる回を虫喰いのように聴いている。
ある日、社会運動研究者の富永京子さんがゲストの『子どもたちのレジスタンス』回を聴いた。
その中で、富永さんの著書『みんなの「わがまま」入門』が紹介されていた。
学生向けだけど大人にも読まれているとのことで、「私にも読めそうだな」と思い、図書館で予約して読んでみた。
「社会運動」と聞くと、私はまだ身構えてしまう部分が正直ある。
この本では、なぜ私みたいにちょっとギョッとしてしまうのかという前提も含め、日本と他国との違いや、どんな参加方法があるのかなどが、とてもわかりやすく説明されていた。
本の中で、比較的日本人に受け入れられている方法の一つとして「請願」が挙げられていた。
請願という制度があること自体は知っていた。
でも、それが実際にどう議論され、どう市政に反映されていくのかは知らない。
市議会のホームページを見てみると、数日後にちょうど教育こども常任委員会で、請願の審査が行われるとのこと。
身近なテーマなら参加しやすいだろうと思い、傍聴してみることにした。
まずは、仕組みを知るところから。
思ってたのと違う①|会場を勘違いしてあたふた


私は4年前にも一度、市議会の「一般質問」を傍聴したことがある。
なので、なんとなく勝手はわかっているつもりだった。
誰もが議会と聞いてイメージするような、あの半円型の議場。
議場の一つ上の階に傍聴席があり、そこから見学できる。
携帯はNG。なので、ノートとペンを持参していた。
4年前と異なり今回は赤ちゃん連れ。
以前自宅ポストに届いた市議会だよりを見て、子連れでも傍聴ができるよう防音スペースがあることを知っていた。
今回はその防音スペースで傍聴させてもらおう、と想定していた。
市議会に着き、前回と同じように傍聴席がある階へ向かった。
しかし、受付をしていない……。
委員会はここではないのか……。
もう一度ホームページを見返すと、常任委員会は議場ではなく別室で行われており、受付も別の階とのこと。
急いでエレベーターに乗り直して向かう。
キョロキョロしながら「傍聴はこちら」と書かれた案内板通りに進み、部屋の中にいた職員さんに「議会傍聴したいんですが」と声をかけた。
「ああ、はい。」と返事にちょっとラグがあった。
あんまり傍聴しに来る人はいないのかな、と感じた。
担当の方が出てこられ、氏名と住所を紙に記入し無事に受付完了。
傍聴者用のカードをもらい、ストラップを首から下げた。
会場は違うけど、一応あればと思い「子ども連れなんですが、傍聴できる防音のスペースとかってないですよね…?」と聞き、「ないです」と言われた。
「そうですよね」と、まぁ出入りは自由にできるみたいだし、泣きそうになったらすぐ出ようと思い会場に向かった。
思ってたのと違う②|想像していた傍聴席とのギャップ
勘違いしたタイムロスもあり、ちょうど「委員会が始まります」というアナウンスと同時に会場に着いた。
開始時間になったし迷惑にならないようにと、コソッと入ろうと思って、「傍聴はこちら」と書かれたちょっと重ためな扉を開けた。
…するとビックリ。
思ったより狭い会議室の、しかも最も目立つ一番前の扉から入る形となり、中にいた人全員の注目を浴びた。
「え?あってるよね??」と外扉を二度見。
やっぱり「傍聴席はこちら」と書いてある。
あっていた。
傍聴席って勝手に後方にあるとイメージしていた。
「傍聴席ってこんな目立つところから入るの…」と思いながら、記者席の後ろのどうやら一般傍聴席っぽい、資料が置かれた壁際のパイプ椅子に座った。
そこには既に3人ほど横並びで詰めて座っておられた。
他にも10席ほどあったので、なんとなく1つ空けて座った。
完全に事前の傍聴イメージが崩れた。
思ってたのと違う③|子連れ傍聴してみて
まず、とにかく会議室が暑い。
バタバタで到着したのと子を抱っこしているのもあるかと思うが、こんな暑い中議論するのかと驚く。
議員さんがハンカチで汗を拭う姿も見てとれた。
省エネ対策でおそらく高めの温度設定でエアコンを入れているとは思うが、「この暑さで集中できるのかな」と少し気になった。
議会棟全体が室温高めだったので、「さすが公的機関」と思いつつ、この環境で毎日仕事をしている職員さんや議員さんは大変だなぁと思った。
抱っこしたまま椅子に座って、ファイルに挟まれた資料を読んだり、メモを取ったりするのは少しやりづらさを感じた。
当初、防音スペースで悠々と傍聴する予定だった私は、思ってたのと違う傍聴席にあたふた。
そして、会議室全体に目を向ける。
議員や行政担当など、どの立場の人がどこに座っているのかがまずわからない。
また事前に請願の詳細は告知されていなかったので、資料を見ながら内容を把握するのにも結構時間がかかった。
徐々に流れを掴んできた頃、「フニャ」と子がぐずり始めた。
授乳してから戻ろうと思い、「また後で来ます」と職員さんに伝えて、一度退出した。
授乳室に向かおうとエレベーターを待っていると、1人の職員さんから声をかけられた。
「音声で傍聴できる別部屋を用意できますが、利用されますか?」とのことだった。
私は「利用します」と応え、部屋を準備していただいた。
角にあるスピーカーから文字通り「音声のみ」が流れていた。
子どもがグズってもそのままでいいですよ、とのことだったので、立って子どもをあやしながら傍聴した。
念のため聞いてみたが、映像はないとのことだった。
気を遣わず傍聴できるのは、本当にありがたかった。
ただ、音声だけでは誰が話しているのか分からない。
さらに、行政特有の回りくどい言い回しにも全く慣れておらず、結局どういう回答だったのか理解するのにかなりエネルギーを使った。
この会は何時まであるんですかと聞いたところ、「議員さんの質問が終わるまでで時間は決まってないです」とのこと。
このまま聞いていても理解が追いつきそうになかったので、後日議事録を読んだ方が良さそうだと思い、途中離席を挟んでトータル2時間ほどで退席した。
思ってたのと違う④|傍聴を通して生まれた疑問
最後まで傍聴ができなかったので、正直期待していたような情報は得られなかった。
もっと質疑応答の内容を理解したかったし、その後、議員同士でどのように審査され採択されるのかも知りたかった。
想像していた傍聴体験とはだいぶ異なったけれど、今回、たくさんの「?」を持ち帰ることはできた。
例えば、委員会はもう少し自由討論だと思っていたけど、実際は思った以上に型に沿って進んでいく。
なぜこのような進行をしているのか。
それぞれの議員が同じような質問を行政に投げかけていたのを見て、「なんで同じことを聞くんだろう?」と思った。
あとで調べてみると、それにもちゃんと理由があった。
また、狭い会議室だったこともあり、マイクでは拾われない議員さんの「そういうことじゃないんだよなぁ……」というぼやきも聞こえてきた。
画面越しでは分からない、その場ならではの空気を感じられたのも面白かった。
おわりに
書籍がきっかけで今回傍聴してみたが、請願の流れをすべて理解できたわけではなかった。
むしろ、分からないことの方が増えた気がする。
でも、その「分からない」が以前よりずっと具体的になった。
ただ調べるだけでは出てこなかった疑問を、自分の目で見たからこそ持ち帰ることができたのは、とても良い収穫だった。
今回は、子連れで常任委員会を傍聴してみた体験について書いた。
次回は、この日議題になっていた「保育士の労働環境についての請願」の内容について。
保育園を利用する保護者として、この請願をきっかけに思い出したことや考えたことがあるので、そのことを書いてみようと思う。
