【宅建試験まであと87日】時効を制する者が民法を制す――取得時効と消滅時効の全体像を整理しよう
📗 マガジン連載「宅建・1日1テーマ合格ノート」#022(2026年7月23日配信)
試験本番まで、毎日1テーマを積み上げていく連載です。
こんにちは。試験まであと87日、今日は木曜日なので「民法/権利関係」の日です。
今回のテーマは「時効」。取得時効と消滅時効の2本柱で構成されるこの分野は、ほぼ毎年出題されています。「何年で時効が完成するのか」「時効の完成猶予と更新の違いは何か」といったあたりが繰り返し狙われるポイントです。
数字の暗記だけで解ける問題もあれば、事例で「この場合に時効は完成しているか?」と聞かれるパターンもあります。今日の記事で、まずは時効制度の骨格をしっかり押さえましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
📌 今日の重要用語
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
① 取得時効
他人の物を一定期間、所有の意思をもって平穏・公然に占有し続けることで、その物の所有権を取得できる制度のこと(民法162条)。
試験でのポイント:占有開始時に善意・無過失なら「10年」、それ以外なら「20年」で時効が完成する。この年数の違いは頻出中の頻出。「善意・無過失」の判断時点が占有開始時であることも押さえておきたい。
② 消滅時効
権利を行使できるのに一定期間行使しないと、その権利が消滅する制度のこと(民法166条)。
試験でのポイント:2020年の民法改正で大きく変わった分野。「権利を行使することができることを知った時」から5年、「権利を行使することができる時」から10年の、いわゆるダブルカウント方式が基本になった。どちらか早い方で時効が完成する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
📝 頻出テーマの要点まとめ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ここからは、取得時効と消滅時効それぞれの要件と効果を整理していきます。
【取得時効の要件】
取得時効が成立するには、次の4つの要件をすべて満たす必要があります。
・「所有の意思」をもった占有であること(自主占有)
・「平穏かつ公然」の占有であること
・一定期間の占有が継続していること
・占有開始時の善意・無過失の有無で期間が変わる
注意したいのは、賃借人のように「借りている」という意思で占有している場合は「他主占有」にあたるため、いくら長く住んでいても取得時効は成立しません。ここは引っかけ問題で狙われやすいところです。
また、占有の承継も重要です。前の占有者の占有期間を合算して主張することができますが、その場合は前の占有者の瑕疵(善意か悪意か)もそのまま引き継ぎます。
【消滅時効の期間】
消滅時効の期間は、権利の種類によって異なります。整理すると以下のとおりです。
〈債権の消滅時効〉
・主観的起算点:権利を行使することができることを「知った時」から5年
・客観的起算点:権利を行使することができる「時」から10年
→ いずれか早い方で完成
〈不法行為による損害賠償請求権〉
・被害者が損害および加害者を「知った時」から3年
・不法行為の「時」から20年
→ 人の生命・身体の侵害は、「知った時」から5年に延長
〈所有権〉
消滅時効にかからない。これも出題されます。
【時効の完成猶予と更新】
旧法の「時効の中断」「時効の停止」は、改正民法で用語が変わりました。
「完成猶予」= 時効の完成を一時的にストップさせること(時計の一時停止のイメージ)
「更新」= それまで進行していた時効期間をリセットして、ゼロからやり直すこと
主な完成猶予・更新事由は次のとおりです。
〈裁判上の請求〉→ 訴えの提起中は完成猶予、確定判決で更新
〈強制執行〉→ 手続中は完成猶予、終了で更新
〈承認〉→ 直ちに更新(相手方の権利を認める行為。一部弁済も含む)
〈催告〉→ 6か月間の完成猶予のみ(更新の効力なし)。催告を繰り返しても猶予は延長されない
〈協議を行う旨の合意〉→ 書面による合意で最長1年の完成猶予(改正で新設)
試験では「催告には更新の効力があるか?」→「ない」というのが定番の出題パターンです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
📚 過去問ピックアップ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
時効の分野から、本試験で実際に問われた形式の問題を見ていきましょう。
【問題】
AがBに対して有する貸金債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
AがBに対して貸金の返済を請求する訴えを提起した場合、裁判上の請求により、その時点で時効は更新される。
Bが、Aに対して「返済を待ってほしい」と申し入れた場合、これは承認にあたり、時効は更新される。
AがBに対して催告をした場合、催告の時から6か月を経過するまでは時効は完成しないが、その間に再度催告をすれば、さらに6か月間の完成猶予が認められる。
AのBに対する貸金債権の消滅時効期間は、AがBに金銭を貸し付けた時から一律10年である。
ここから先は有料パートです。
各選択肢の詳しい解説、間違えやすいポイントの深掘り、そしてゴロ合わせや記憶術を掲載しています。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
