日本映画ベスト100 その㉘「どこまでもいこう」「リリイ・シュシュのすべて」「ハッシュ!」
どこまでもいこう/塩田明彦 1999
90年代にいくつか映画学校的なものが出来たが、なかでも多くの監督を輩出したのが映画美学校。その映画美学校が製作し、実習生とのコラボレーションで作られた作品。団地に住むアキラと光一は親友だったが、小学5年になりクラスが別々になったことから微妙な距離を置くようになってしまう。そして、それぞれ別の友達と遊ぶようになるが…。誰にでも経験があるであろう子供時代の複雑な人間関係、初恋が描かれる。いわゆる子役とは異なる子供たちの芝居が胸を打つ作品だ。
リリイ・シュシュのすべて/岩井俊二 2001
岩井俊二は、長編デビュー作「Love Letter」で注目され、続く大作「スワロウテイル」は独自の世界観を徹底して追求したものだったが、オールスター映画過ぎて消化不良であった。その世界観だけを純粋培養したのが本作だと感じた。中学生の雄一は、かつて親友だった星野から苛めの標的にされ、辛い日々を過ごしていた。雄一は、ミュージシャンのリリイ・シュシュのファンサイトで、見知らぬ人たちと交流することだけが心の拠り所だった。そんな中、雄一は、同じくクラスで苛められている詩織が売春させられていることを知り…。失われた10年に生きる少年・少女の鬱屈した日常を切り取った意欲作で、市原隼人、蒼井優、伊藤歩の鮮烈な印象が残る。個人的には、エドワード・ヤンの「牯嶺街少年殺人事件に呼応する作品だと思っている。
ハッシュ!/橋口亮輔 2002
デビュー作から一貫して、同性愛者の心の揺らぎを描いてきた橋口亮輔の転機となった一作。交際を始めたばかりの同性愛カップル、勝裕と直也。勝裕は同性愛者であることに引け目を感じており、周囲に気づかれないようにしている。そんな折、彼は精子提供者を探している女性・朝子に出会う。第三者の朝子を登場させることで、橋口亮輔世界観がが描きたいテーマ&世界観が大きく広がっていく。特に、家族たちが揃うシーンの長廻しは圧巻だ。橋口監督は、うつ病になるが、その経験をも活かして「ぐるりのこと。」「恋人たち」という様々な人々の痛みに寄り添う映画を連作している。
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