【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第一部 第十話「十四人の妖精」
第十話「十四人の妖精」
「王女は王国一の美女よ。
似ても似つかないわよ」
隣に立つ紫の髪の女の子が怒った顔で瑠璃を指さした。
「あ~本当に失礼。
ここは私の家なの。
悪いけど出ていってもらえるかしら」
「出て行く? 出て行くってここどこ? 」
その女の子は辺りを見回した。
そして瑠璃が抱く赤ん坊を見て、
「王子~」
と叫ぶと、十四人の小人、もとい妖精が取り囲んできた。
「えっ? かぐや姫じゃなくてかぐや王子? 」
瑠璃は驚いて眠る赤ん坊を見た。
すると王子が目を開けた。
同時に見る見るうちに成長し、
二、三歳にまで大きくなった。
「うわっ」
思わず瑠璃の声が漏れる。
体に合わせて、
身にまとっている洋服も広がった。
瑠璃が驚いていると、
子供はいきなり歩きだし仏壇の前に立った。
「ばあば」
えっ? この子には祖母が見えているんだろうか。
「ばあば。バイバイ」
笑顔で手を振る姿の何と愛らしい事。
ハッ!!
可愛いなんて言ってられない。
この子をどうしたらいいの。
さっき迄赤ん坊だったのに、もう幼児になってる。
という事は、大人になっちゃう?
大人以前に介護?
お祖母さぁ~ん、カムバ~~~ック~
この子を置いていかないで~
百面相を見せる瑠璃に妖精たちは笑うと、
「おばさん、面白いね」
と金髪に金色の瞳の男の子が言った。
「あのね。おばさんおばさんて、
私には瑠璃という立派な名前があるんです」
「へえ~おい、ラピス。お前と同じ名前だって」
金髪の男の子に呼ばれた女の子が、
瑠璃のそばに来た。
紺色の髪に深い青の瞳が美しい。
彼女は瑠璃を見上げると、
「私と同じなのね」
といって笑った。
すると王子と呼ばれた子供が、
瑠璃の所に戻って膝にストンと座った。
「えっと、あなた達この子を王子って言ったけど」
「そうよ。宝石王国の王子。宝石王子よ」
赤い髪の女の子が言った。
「宝石王子………? あっ、でもここでは使えないわ。
商標登録されてるから」
「なにそれ。正統な王子に使えないって」
「この国にはそういうルールがあるの。
ほら、ここではこの人が正式な王子なの」
そういってスマホを開くと写真を見せた。
「………」
「うちの王子の方が可愛いのに」
「なんでよりによってこんな国に飛ばされたの」
妖精たちが文句を言った。
「でも、昔にもこの国に落とされた王女と王子がいたでしょ。
あれもこの国だったのよ」
銀髪の女の子が話した。
「あっ、王子が言ったばあばってエリス王女? 」
緑の髪の男の子が言った。
その名前に瑠璃が口をはさんだ。
「エリスは祖母の名前よ。
なに? それでいくと祖母は宝石王国の王女で、
父は王子って事? 」
瑠璃は荒唐無稽な話に笑い出した。
「ありえないでしょう」
「だったらこれをどう説明するのさ」
白い髪の男の子が自分達を指さし、
瑠璃と膝に座る王子を見た。
信じたくはないが、これは紛れもない事実だ。
瑠璃は王子をじっと見た。
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