【長編連載】アンダーワールド~冥王VS人間~ 第五部ー180
《あらすじ》
架空の日本国を舞台にした現代ファンタジーです。
時はもうすぐ22世紀になろうとしている、災害大国である日本。
国のトップである首相は、神を殺し続け自分が神になり替わろうとした。
それをきっかけに国は暗闇に落ち、冥界からは死神と、人間でありながら死して冥王の部下として働く、特例と呼ばれる者達が降り立ち、闇から国を救うために動き出す。
特例・死神・妖怪・鬼が生きるために、国と戦う物語です。
これは以前に書いた古い作品で、他サイトにも投稿したものです。
noteでは少し改訂させていただきました。
新聞の連載をイメージして、一話を短くしています。
現在も続編を書き続けている一作なので、ゆるりと読んでいただけたら嬉しいです。
*この物語はフィクションです。実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。
八雲翔
「姫を迎えに」
「ええ~俺も~? 」
「人手が足りないんだから仕方がないでしょ。
安達君、牧野連れてって」
トリアも言うと、牧野のお尻を叩いた。
二人が出て行くのを見て、
「えっ? 結局俺一人? 」
妖鬼の不満の声に、
「死神課で応援呼ぶからそれまで見ててよ」
トリアはそういうと死神課に向かった。
「そうだ。
冷蔵庫に限定のケーキが入ってるから食べていいですよ」
「やった」
向井の言葉に喜んで冷蔵庫に走っていった。
「あっ、それとチビが起きたらトイレね。
行きたくないって言っても連れてってください」
「分かった」
妖鬼は嬉しそうにケーキの箱を出すと手を振った。
「じゃあ、お願いしますね」
向井が廊下に出ると、
「向井君は人を操るのが上手いなぁ~」
毘沙門天が感心する様子で口を開いた。
「その言い方チートぽくて嫌ですね」
向井は苦笑いで毘沙門天を見た。
「そお? 別にゲームじゃないし」
「毘沙門天様はゲームされるんですか? 」
向井が驚いて相手を見ると、
「天上界で楽しい事なんてゲームくらいですよ」
と笑った。
それから死神課で待つトリアとともに下界に下りた。
この時期になると街も賑やかになり、
夜になればイルミネーションも輝き始める。
人も増え、小さな悪霊の塊も見える。
向井は霊玉に言霊を吸い込ませ、
歩きながら除去していった。
「さすがに空気が悪い。
天上界のやつらは一分といられないんじゃないか? 」
顔をしかめて歩く毘沙門天に、
「毘沙門天様は大丈夫なんですか? 」
と向井が聞いた。
「平気じゃないが、まあ、我慢はできるな」
「だから直接ミヒカの所に行こうって言ったのに」
トリアが不平を言った。
「せっかくここまで下りてきたんだもん。
下界も歩きたいでしょ」
毘沙門天はそういうと、
賑やかな人の波を楽しそうに見て歩いた。
団地につくと毘沙門天の足が止まった。
「これは酷い。人間の欲深さの現れだね」
「ちょっと待ってください」
向井はそういうと、
先程冥王に渡された霊玉に息を吹き込み、
入り口に埋めるように押し込んだ。
土地が一気に澄んでいく。
「一時的なものですが、
毘沙門天様には辛いだろうと冥王から託されました」
向井は微笑むと、
「どうぞ」
と入るように頭を下げた。
「有難う。あんな男だがこういう事には気が回る。
癪に障るが助かったよ」
毘沙門天は笑うと団地に足を踏み入れた。
向井達が入ったのが分かったのだろう。
赤姫がどこからともなくやってきた。
「ん? お前は毘沙門天か? 」
「おお~これは姫様。相変わらずお美しい」
「そんな世辞、お前に言われても嬉しくないわ」
赤姫は不服そうな顔をすると、
「お前に話を通すだろうことくらい、
この前のトリアの様子で分かっておった」
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