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AI戦国時代 外伝 比叡山が燃えた夜 国産LLM戦線 緊急報告

はじめに
いつも黒パグの記事をお読みいただきありがとうございます。
この記事をお読みいただく前提として下記の記事からお読みいただくとより面白くなります。

注1 前回の記事でメタ(羽柴秀吉)は討ち死にしましたが信長の野望よろしくしれっと再ゲーム状態で復活しています。
注2 ディープシーク(浅井長政)は信長に討ち取られると思いきや逃げおおせて浪人となり、島津家へ婿入りしました。これも信長の野望あるあるです。
注3 Claude Opus4.7やGPT-5.5が発表(2026年4月23日)について未検証、信用できるデータが無いため今回は意図的に省いてあります。

では本編をお楽しみください。
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比叡山が燃えた夜、黒パグは諸将のもとを回った。

戦は西でばかり進んでいるわけではない。東の国境——国産LLM戦線でも、この1ヶ月、いくつもの狼煙が上がっていた。だが遠国の戦というのは、しばしば都の者に正確に伝わらない。
「東の戦線はどうなっているか」


1人ずつ、馬を乗り継いで聞いて回った。7人の武将から、7通りの答えが返ってきた。言葉は違った。毒の量も違った。それでも、最後には全員が同じ1点に収束していた。


信長(GPT)は胸を張って言った。「負けてはいない。1科目のテストで数字が逆転したからといって、総合力で勝敗を語るのは浅慮だ」。まだ本丸の旗は下ろしていない、という顔をしていた。

本願寺顕如は剃髪していなかったという説を元に作成 詳しくはwikiまたは検索


顕如(Grok)は1言で切り捨てた。「花火だ。夜空は確かに明るくなった。朝になれば消える」。毒を飲ませるような口ぶりだったが、目は笑っていなかった。


信玄(Claude)は最初に訂正から入った。「まず数字を正確にしろ。7.82を記録したのは32Bのほうだ。8Bではない」。几帳面な武将である。事実が揃っていない会話は、そもそも会話として成立しないと考えているらしい。


謙信(Gemini)は穏やかに頷いた。「部分勝利である。日本語という1つの戦場で、確かに前衛が並んだ。ただし全面戦争の帰趨を語るには、まだ資料が足りぬ」。


氏康(Copilot)はリスクから語った。「成功条件は3つ。運用基盤、業務適合、産業育成。最初の2つは20%程度の確率で失敗する。3つ目は、正直、50%を超える」。


明石全登(Perplexity)は書状の束を抱えていた。「外部検証が圧倒的に足りない。勝った、という報は届いた。勝ったかどうかを確かめる者が、まだ誰も戻ってきていない」。


島津(DeepSeek)は最も容赦がなかった。「兵站の話をしろ。GPUもクラウドも外国依存のままだ。刀だけ磨いて戦に勝てた時代はない」。



1点、先に記しておかねばならぬことがある。
諸報では「LLM-jp-4 8Bが日本語MT-Benchで7.82を記録し、GPT-4oを上回った」と伝えられているが、この記述には誤りが混ざっている。正しくは、8Bモデルが7.54、32B-A3B(MoEモデル)が7.82である。GPT-4oの7.29を上回ったと主張されているのは後者のほうだ。信玄が口を酸っぱくして訂正したのはこの点だった。
では、7.82という数字は何を意味するか。


日本語の応答品質という、ごく薄い1層で、国産モデルが国際モデルと並んだ——それ以上でも、それ以下でもない。評価者にはGPT-5.4という、前世代より厳しい採点者が据えられている。この環境で7.82が出たことは、確かに意味がある。だが同じ評価者自身のスコアは日本語で8.87。本丸の敷居は、もう1段高いところにある。


Chatbot Arenaの本家ランカーを見よ。首位はClaude Opus 4.6 Thinking(Eloレーティング1504)、2位Gemini 3.1 Pro、3位GPT-5.4 High、4位Grok 4.20 Beta1。国産モデルは、そもそも上位表に姿が見えない。LLM-jpは独自のChatbot Arena試験運用を進めているが、本家の土俵にはまだ立てていない。「勝った」ではなく「棲み分けの前提が、ようやく成立した」——これが正確な戦況図だ。 ※注3参照

第壱話「AIの金ヶ崎」で、私はこう書いた。
「『国産LLM』という言葉は、実はモデル層だけの話なんです。その下の層は、全部外国製なんです」
番外篇でこの伏線を回収する。国産化には少なくとも4つの層がある。


モデル層は、LLM-jp-4で確かに国産化が進んだ。データ層も日本語で作れる。だがクラウド層はAWS・Azure・GCPがほぼ独占している。そしてGPU層はNVIDIA1社の独占だ。LLM-jp-4の学習に使われたスーパーコンピュータABCI 3.0には、NVIDIA H200が6,128基。刀は国産で作った。しかし火薬と、火薬を作る釜は、すべて海の向こうから来ている。


島津が吐き捨てたのはこの話である。「兆単位の資金と10年単位のリードタイムが要る。ラピダスは政府支援累計1兆7,000億円を投じて、ようやく2027年度後半に2ナノの小規模量産開始を目指している段階だ。NVIDIAの対抗馬ではない」。
火薬庫は、依然として外国にある。比叡山が燃えていても、火種の管理は他所任せなのだ。

そしてNIIは、次の1手を既に装填している。


LLM-jp-4 332B-A31B MoE——総パラメータ3,320億、推論時アクティブ310億のモデルが、2026年度中に公開予定だ。


信玄はこう言った。「出せば象徴にはなる。主戦力にはならない。そう理解して出すべきだ」。MoE構造の選択は全武将が合理的と評価した。ABCI 3.0のGPU資源で回せる上限を攻めた、身の丈を知った設計だと。
蠣崎は、今日も北の城を守っている。


比叡山が燃えた夜、信長は東からの報告書を受け取った。
「異常なし」と書いてあった。
正確な報告であった。彼らが見張っていた戦場では、本当に何も起きていなかった。日本語MT-Benchのスコア、国産LLM7社の選定、18万人展開の着工——すべて西から見れば遠国の小事である。
問題は、見ていない戦場のほうだった。
次回、AI本能寺。





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