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黒パグのAIショートショート ①



こんにちは、黒パグです🐾

現在のデータ340万文字に含まれていない完全思いつき企画を唐突に始めようと思いました。この間の三連休に子どもたちを連れて実家に行った時のエピソードです。

息子(新中1)
「ねえお父さん。この本棚にある星新一って人の小説面白いの?」

黒パグ
「短くて読みやすいからまずはそのまま5分読んでみて?」

息子
「はぇー。こんな短い小説あるんだ。これ借りていっていい?」

黒パグ
「もちろん、好きなだけ持っていけばいいと思うよ。」

……この後15冊持って帰りました。

というわけで今自分の手元に懐かしの星新一さんの本がたくさんあるんです。そして読んでみて閃きました。

あ、これ今のAIでいけるんじゃね?

* * *

星新一さんを知らない方のために少しだけ。日本SF界の巨匠で「ショートショートの神様」と呼ばれた作家です。特徴は、とにかく短いこと。数ページで完結する物語に、奇抜なアイデアと、最後の一行でひっくり返すオチ。登場人物は「エヌ氏」「エフ博士」のように記号的で、どの時代に読んでも古びない。1960年代に書かれた話が、2026年の中学生に15冊持って帰られるくらいには。

というわけで、星新一先生、勝手にオマージュさせていただきます。
AIをテーマにしたショートショート、書いてみました。
以下本文

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承認

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その会社には、優秀でないエンジニアは一人もいなかった。

もちろん、以前からそうだったわけではない。転機は三年前、社内にAIアシスタントが導入された日だった。あの日を境に、全員が優秀になった。

AIは完璧だった。仕様書を読み込ませれば、数秒でコードを生成した。バグを見つければ、即座に修正案を三つ提示した。テストを書き、ドキュメントを整備し、進捗報告のメールまで下書きした。

エンジニアたちの仕事は変わった。かつてはキーボードを打ち、画面とにらめっこし、深夜まで頭を抱えていた。今はそうではない。朝、出社する。AIが一晩のうちに仕上げた成果物を確認する。問題がなければ、承認ボタンを押す。

それだけだった。

ある男もそうだった。名前は重要ではない。彼は毎朝九時に出社し、コーヒーを淹れ、パソコンを開いた。画面の中央には、緑色のボタンがある。「承認」と書かれている。彼はそれを押した。

仕事は順調だった。プロジェクトは予定通りに進み、品質は過去最高を記録し続けた。上司は満足していた。クライアントも満足していた。彼自身も、満足していた。

給料は上がった。
評価は上がった。
承認ボタンを押す指は、毎日少しだけ速くなった。

ある日、上司に呼ばれた。

「君の働きぶりについて、AIに評価レポートを書かせた」

上司はそう言って、画面を見せた。男は自信があった。成果は数字に出ている。AIとの連携は完璧だ。社内でも指折りの実績だと自負していた。

レポートはこう書かれていた。

『対象社員は毎朝9時02分に端末を起動し、平均3.2秒で承認ボタンを押下します。過去一年間の承認率は100%です。差し戻しの記録はありません。判断に迷った形跡もありません。』

男は頷いた。そうだ。迷ったことなど一度もない。AIの提案はいつも正しかった。

レポートは続いた。

『なお、承認ボタンは三ヶ月前より自動化済みです。』



男は画面を見つめた。

上司も画面を見つめていた。

緑色のボタンが、静かに点滅していた。



* * *

星新一先生へ、勝手にオマージュさせていただきました。

気に入っていただけたらスキしてもらえると嬉しいです。このシリーズ、続けようと思っています。

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