【道東ひとり旅②】晴れていたのは根室だけだった。
今日も読んでくれてありがとうございます。
霧多布で迎えた2日目の朝。
前日の夜は、想像以上の湿気に驚かされました。
テントも、シュラフも、衣類も、なんとなくしっとりしている。
キャンプ場の受付で、「車中泊が人も多いですよ」
と言われた意味が、少し分かった気がしました。
それでも、朝起きて外を見ると空は晴れていました。
今日は根室まで行ってみよう。
その前に、せっかくなので霧多布岬へ朝日を撮りに向かいます。
霧多布岬の朝
まだ薄暗いうちに岬へ。
水平線が少しずつオレンジ色になり、やがて太陽が姿を現しました。
右手には、霧の中に浮かぶような岬と灯台のシルエット。
昨日の昼間とは、まったく違う風景です。

早起きした甲斐がありました。
今回の旅では星空も撮ることができたし、朝日も撮れた。
新しいカメラの使い方にはまだ戸惑うこともありますが、少しずつ分かってきた気がします。
撮影を終え、今度は根室方面へ向かいます。
蜘蛛の巣を払いながら、落石岬へ
最初に向かったのは落石岬。
車を降りると、いきなりエゾシカの群れがいました。
しかも、結構近い。
北海道に住んでいるのでエゾシカ自体は珍しくありませんが、車を降りてすぐ、これだけ近くに何頭もいると、さすがにちょっと驚きます。
そんな出迎えを受けて、落石岬へ。
駐車場所から岬までは、片道25分ほど歩きます。
湿地帯の中に木道が延びていて、なかなか雰囲気のある場所です。
ただし、朝一番。
まだ誰も歩いていなかったようで、行く手には蜘蛛の巣が次々と現れます。
蜘蛛の巣を払いながら、ひたすら木道を歩く。
ようやく見えてきたのが落石灯台でした。

せっかく25分も歩いたのですが、撮れた写真は自分としては「記録写真」の域を出ませんでした。
でも、旅ってそんなものなのかもしれません。
必ずしも、苦労して行った場所で最高の写真が撮れるわけではない。
それでも、誰もいない朝の湿原を歩いたことは、写真以上に記憶に残っています。
日本の東の端、納沙布岬へ
続いて向かったのは納沙布岬。
一度は行ってみたかった場所です。

ただ、実際に着いてみると……。
思っていたほど、心は動きませんでした。
ここでも撮ったのは、どちらかというと記録写真。
近くには野鳥を観察できる場所があり、沖には貝殻島が見えます。
このあたりが、日本とロシアの境界になると知ると、北海道の東の端まで来たことを実感します。
残念ながら貝殻島の写真はありません。
それでも、「ここまで来た」ということ自体が今回の旅の一つの記録になりました。
根室に来たなら、エスカロップ
そろそろ昼です。
根室といえば、やはりエスカロップ。
発祥の店として知られる「どりあん」へ向かいました。

バターライスの上にトンカツ、その上からデミグラスソース。
見た目からして、なかなかのボリュームです。
朝早くから歩いたこともあって、これは美味しかった。
前日の浜中の「オムトン」に続いて、2日連続のご当地洋食。
こういう食事も、ひとり旅の楽しみです。
有名な岬より、名前も知らなかった橋
根室を離れ、霧多布へ戻ります。
途中、ふと目に入った風景がありました。
温根沼大橋です。
青い空。
白い雲。
水面の向こうに伸びる橋。
「きれいだな」
そう思って車を止め、カメラを取り出しました。

落石岬や納沙布岬では、それほど心が動かなかった。
ところが、予定にもなかった橋では車を止めて写真を撮っている。
なんだか面白いものです。
写真を撮る理由なんて、本当はそれでいいのかもしれません。
有名な場所だからではなく、
自分の心が動いたから、カメラを向ける。
今回の旅で、そんな当たり前のことを少し思い出しました。
根室は晴れていたのに
根室では時折、青空も見えていた。
この調子なら、霧多布に戻ってもテントは乾いているだろう。
そう思いながらキャンプ場へ戻った。
ところが――。
霧多布は、まったく別の天気だった。
テントは濃い霧の中。
しかも小雨まで降っている。
昨夜あれだけ悩まされた湿気から、結局逃げることはできなかった。
「これはもう、撤収しよう」
雨の中、濡れたテントを畳んだ。

濡れたテントをたたみ、荷物を車へ押し込む。
昨日から続く湿気もあって、体もなんとなくベタベタしています。
撤収を終え、そのまま霧多布温泉へ。
温泉に浸かった瞬間は、本当に気持ちよかった。
厚岸の牡蠣。そして……
さっぱりしたところで、次は厚岸へ。
道の駅コンキリエに立ち寄りました。
厚岸まで来たのだから、やっぱり牡蠣でしょう。
注文したのは牡蠣のペペロンチーノ。

大きな牡蠣は、さすが厚岸。
これは美味しかった。
ところがパスタは……。
コンビニレベル(笑)。
牡蠣が美味しかっただけに、ちょっと残念でした。
ここで車中泊することも考えました。
でも、まだ時間があります。
このまま一日を終えるには少し早い。
「晩成温泉まで行ってみるか」
また予定を変更しました。
日が暮れてから、晩成温泉へ
厚岸から晩成温泉へ。
途中、海岸沿いの道を走ります。
これが、ちょっと怖かった。
波が高い。
暗くなっていく海のすぐそばで、大きな波が押し寄せています。
昼間なら雄大な景色だったのでしょうが、日暮れ時に一人で走ると、迫力がありすぎます。
晩成温泉に到着した頃には、すっかり日が暮れていました。
そして、ここも――
霧雨。
今日はもうテントを張る気力もありません。
温泉に入り、そのまま駐車場で車中泊することにしました。
朝は霧多布で朝日を撮り、
落石岬を歩き、
納沙布岬まで行き、
根室では青空を見て、
霧多布に戻れば雨の中で撤収。
厚岸で牡蠣を食べ、
最後は霧雨の晩成温泉。
ずいぶん長い一日でした。
そして、この頃には少しずつ疲れもたまっていました。
旅に出る前は、
「せっかく来たんだから、できるだけたくさん見よう」
と思っていました。
でも、実際に旅をしてみると、予定どおりにいかないことばかりです。
天気も変わる。
気分も変わる。
行ってみたら、それほど感動しない場所もある。
逆に、予定にもなかった風景に車を止めることもある。
それも含めて、旅なんだろうな。
そんなことを考えながら、晩成温泉の駐車場で2日目を終えました。
明日のことは、明日の朝に考えよう。
——つづく。
