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【十行小説】泳ぐ縄文人

荒れた大海原から
泳いでくる人がいる。

力強く、
星を背負って
水をかき分けながら。
黒水晶の泡を飛ばして
泳いでくる。

縄文人だ。

私に何かを手渡すと、
安堵と喜びで
慈しみの空間を響かせ、
天を蹴り出し、
地の底深くに帰っていった。

残ったのは、
両手の中にボンヤリ浮かぶ
朧月のような
珠(たま)が一つ。

やさしくたゆたう光が一つ。