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私は働くし、にこやかに、迷惑をかけずに生きるから、どうか許してくれるかな

「じゃあ、niniは第一子をいつ生みたいの?そこから決めよう。」

はてまた、困ってしまった。なんといっても、私は結婚相手どころか、彼氏もいないのだ。ただ、博士課程に進学をするのか就職をするのか、ぼんやり悩んでいた修士一年の学生に、そこまでの逆算が必要なのだ。現時点でないものを勘定に入れて、逆算するなんて、いくえにも推定に推定を重ねて確度も精度も何もない。

対する、この質問主の彼は、何年もの間つきあい続けていて結婚も見据えたかわいい彼女がいる。とてもよくできた男友達だ。女性の将来設計まで見据えて、会話ができるなんて。

「niniよりもそういうことに関しては、何百枚もうわてだからね」
「とりあえずマッチングアプリでもやってみなよ」
「会ってみなきゃね、何も始まらないよ」
なんだかむなしくなってきた。何がいけなかったというのだろうか。何を変えればいいのだろうか。そもそも、変わらなければならないのだろうか。

現状には、満足している。長い間、突き詰めたかった分野で、大学院まで進学することができた。最高学府の名の下、潤沢な設備で朝から晩まで日夜研究をしている。これ以上なく幸せで、この環境を得られたのは、かなりの運とちょっぴりの努力と周囲の手助けがあってこそだ。
余暇には、美術館を巡って、幼いころから美術便覧で見ていた絵の実物を見て心を震わせたり、お金が貯まるとミュージカルに足をのばして、念願の演目を生で鑑賞したりする。
少し落ち込んでしまうときは、思い切って運動したり、日々の筋トレも欠かさないし、よく頑張って、生きているつもりだ。


言語化は難しいのだけれど、「人にときめく」ということがなかった気がする。今日の夕日がきれいだなあとか、さっき作った混ぜご飯がすごくおいしいなあとか、粕漬けを半額で買えておいしく焼けて嬉しいなあとか、そういうことがいっぱいあって、それで十分満たされてしまう。それに、たまの映画鑑賞や、実験データがうまく取れたり、そういったことで十二分だ。

さて、こんな毎日に、やれ結婚だ、やれ恋愛だ、となってしまうと、極端に言うと寝耳に水だ。おいでよ!どうぶつの森の世界に、急に異世界住民が大群で押し寄せてきたような感覚である。

そもそも、今の時点で、朝から晩までみっちり予定は詰まっている。5時か6時、たまに夜更かしした次の日は遅めに起きて、朝から研究をして22:00前後に家に帰る毎日だ。そこまで主体的に興味がわかない事象に対して、時間を捻出できるほどの気力もない。

だけれど、ここで、ゴールから逆算して勉学を進めてきた私が頭をだす。現実的にも35歳以前の出産が望ましくあるのであれば、想定の出産人数を考えて、計画を立てるべきというのは確かにそうだ。加えて、子どもは天からの授かりものだ。つまり、計画通りにはいかない可能性もある。だがしかし、身体的な制約条件もある。

ここまで考えると、ふと、思ってしまうのだ。
何に焦っているんだろう、
私には、もっと見たい景色も、
やりたいことも、
叶えたい夢もいっぱいあるのに、
なんでそういう夢のために努力をして、
そういうことのために時間を使っているだけで、
「人生設計をしていない、遅れている」
となってしまうんだろう、と。

親切なのはわかっている。
考えるべきなのもわかっている。
だけど、本当に少し思ってしまうのだ。

私は働くし、にこやかに、迷惑をかけずに生きるから、どうか許してくれるかな、と。

#就活 #出産 #人生設計   #女性


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