思考実験41 : 「意識社長」から「無我社長」まで、4人それぞれの一日 -- 秘書から渡されたスケジュール表
コラムNo. 64, ”物質宇宙”と”精神宇宙”を1枚の紙に描く
ー 秘書から1日のスケジュール表を渡されたそれぞれの社長
***以下の物語は、脳の「意識」「ゾーン」「瞑想」「無我」の各状態を比喩して描いています。***
4人の社長は、毎朝出社すると、秘書からその日のスケジュール表を受け取ります。
9時 業績報告
10時 取引先との打ち合わせ
13時 経営会議
15時 工場視察
17時 新製品プレゼン
4人とも、受け取ったスケジュールはまったく同じです。
しかし、その一日の過ごし方は大きく異なっていました。
一人目:「意識社長」
意識社長は、秘書から渡された予定表どおりに一日を進めます。
9時の業績報告が終われば、10時の打ち合わせへ。
打ち合わせが終われば、経営会議。
そして工場視察、新製品プレゼンへと、一つひとつの予定を順番にこなしていきます。
目の前の仕事に集中しながら、その日を着実に進めていきます。
時間の流れに沿って、かつ多方面に気を使いながら一つずつイベントを処理していくやり方です。
二人目 :「ゾーン社長」
社長はスケジュール表を見ると、17時の「新製品プレゼン」に丸を付けました。
「今日は、我々にとって非常に大事な一日になる。」
そう言い放つと、「新製品プレゼン」以外の他の予定はすべて別のスタッフをアサインしていきます。
業績報告には担当役員を。
取引先との打ち合わせには営業本部長を。
工場視察には自社工場長を代理として出席させました。
そして、自らは新製品プレゼンの準備に没頭します。
製品を触り、資料を読み返し、想定問答を繰り返しながら、一つの目的だけへ意識を集中させます。
今日という一日は、そのプレゼンのために一点集中させます。
三人目 :「瞑想社長」
瞑想社長は、予定そのものではなく、その日の予定の順番に気をかけていました。
そして、秘書へこう伝えました。
「経営会議を一番最後に変更しよう。」
工場視察を終えてから経営会議を開けば、現場で得た情報をそのまま議論へ反映できます。
さらに、新製品プレゼンで得られた市場の反応も加えれば、より本質的な議論ができるはずです。
社長が見ているのは、一つひとつの予定ではありません。
予定同士を結ぶ流れです。
スケジュールの各予定は、独立イベントとしてではなく、一つの流れの中で構成させます。
四人目 :「無我社長」
無我社長は、予定を変更することも、誰かに任せることもしません。すべての予定に参加します。
しかし、業績報告、打ち合わせ、経営会議、工場視察、最後の新製品プレゼンでさえも、自分から結論を出そうとはしません。
若手幹部へ進行を任せ、必要以上に口を挟むこともありません。
議論が迷えば問いを投げかけます。
方向が定まれば静かに耳を傾けます。
その姿は、一歩引いているようにも見えるかもしれません。
しかし、実際には誰よりも全体を俯瞰しています。
目の前の会議で結論を求めることが最優先事項ではありません。
若手が考え、挑戦し、失敗し、成長していくことも含めて、一つの生命体としての会社の未来をただ見つめています。
会社全体を俯瞰していると、自分という存在も、組織全体を支える一つの要素として自然に溶け込み、そこには社長という肩書も存在しなくなります。
社長自身が目立つ必要はありません。
組織全体が、自ら考え、自ら成長していくことをただ見つめ続けています。
4人の社長に渡されたスケジュール表は、まったく同じものでした。
ただ、それに対する反応は、ここ違うものでした。
これは自分を取り巻く世界を、如何に編集するか、の違いです。
意識社長は、一つひとつの予定を順番に決められた通り進める。
ゾーン社長は、一つの目的以外は他に任せ、一点に集中する。
瞑想社長は、予定同士の関係性を観る。
無我社長は、組織全体を俯瞰する。
世界は変わっていません。
変わっているのは、その世界と、どのように向き合うかだと思います。
