見出し画像

雨の福岡マラソンを完走して、そのままミセスのライブへ直行した話

— 5時間00分17秒と、忘れられない1日の物語

朝から空はどんよりと曇っていて、スタートの頃にはしっかり雨が降っていた。
私が立ったのは約16,000人のランナーが集まる最後尾ブロック。遠くの前でスタートの号砲が鳴ったはずなのに、その音は全く届かず、ただ周りのランナーたちの「いってきます!」という空気だけがゆっくりと動き始めていた。

みんな雨の中でも笑顔で、初めての挑戦の私の方がむしろ緊張していたかもしれない。
妻は雨の中を自転車で先回りして私を探してくれていたらしいが、参加者が多すぎて結局見つけられなかった。それでもその気持ちだけで十分背中を押された。

練習では20kmまでしか走ったことがなかった。だから、それを越えてからの世界は本当に未知だった。
特に折り返し地点の 九州大学の坂。あれは……もう、本当に地獄。今思い出しても身体が拒否反応を起こす。
「なんでここで坂?」と誰もが心の中で叫んでいたはず。

それでも、エイドの学生さんやスタッフさんが本当に優しくて、
「あと少しですよ!」「雨の中すごいです!」
と声をかけてくれて、そのたびに脚が一歩前に出た。

たくさんのお菓子や食べ物が並んでいたけれど、
ダントツで私を生き返らせたのは丸々1個のトマト。
あれは…本当に“神”だった。酸味と水分と冷たさが、身体中に染み渡っていった。

何度も歩いた。もう脚が棒のようになっていた。
けれど、不思議と“リタイア”の文字は頭に浮かばなかった。
「ここまで来たんだから絶対にゴールしたい」
その気持ちだけで前に進めた。

そしてゴール直前、雨で視界がぼやける中、
ついに応援してくれている妻を発見した。
その瞬間、全部の疲れが報われた気がした。

タイムは 5:00:17。
初めてのフルマラソンで、なんとか完走。
やり切った喜びと雨の匂いが混ざり合って、これ以上ないくらい胸が熱くなった。

ただ、ゆっくりする暇はない。
そのまま地下鉄に乗り、脚の痛みに耐えながら Mrs. GREEN APPLE のライブ会場へ直行。
アドレナリンがまだ体に残っていて、痛いのに妙に元気だった。

「ライブ後は絶対動けなくなる」と予想していたので、隣のヒルトンホテルを予約していたのは大正解。
ライブが終わった瞬間、もう脚は完全に終わっていた。
そのままホテルに直行してベッドに倒れ込んだ。

30歳になって新しく始めた趣味のひとつ。
その中で掲げた、大きな目標の一つだった “フルマラソン完走”。
それをこうして達成できたのが、素直に嬉しい。

そして、この年齢になってメダルをもらえたという事実が、
なんだか子どもの頃のワクワクを思い出させてくれて、胸の奥がじんわり温かくなった。

雨で始まり、痛みで終わった一日。
だけど、間違いなく “最高の一日” だった。

何よりも、突然始めた私の趣味に、
笑顔で応援してくれた妻に心から感謝です。
ありがとう〜!

いいなと思ったら応援しよう!