見出し画像

窓辺で梨を食べる夜

会社に鳥取県出身の先輩がいる。
二十世紀の産地ですよね?と聞いたら、砂丘と言ってこなかった人は初めてだ!と梨をくれた。なんでも言ってみるものである。

いただいた梨はみるからに贈答品です、と誇らしげにネットに巻かれて入っていた。まんまるで、身が詰まっていて、ずっしりと重くて、なのに皮が薄い。
なんでも皮付きで食べるイグアナは、高級な果物ほど皮が薄くて柔らかいのではと思いだしている。

目の前で半額シールが貼られた手羽元と、夏の名残の野菜たちをスープカレーにして、冷蔵庫は梨だけになった。イグアナの冷蔵庫は大きいのにほぼなにも入っていない。冷凍庫も空っぽ、野菜室はお米が常駐しているけれど、玉ねぎとじゃがいもさえ怪しいところである。作り置きをしていたころは、週末は料理ばかりしていた。野田琺瑯の白い保存容器が冷蔵庫を占領しているのは嬉しかったし、塩レモンを漬けたり、梅酒を仕込んだりするのも、楽しかった。

一人に戻ったいまは、窓辺で果物を食べている。
楽しいのか寂しいのか、ミルクティがカフェオレに変わった、
ただ、それだけの、こと。

いいなと思ったら応援しよう!